クワシロカイガラムシ

1.生態と防除のねらい

  越冬は雌成虫で行う。年間発生回数は福岡県では3回で、幼虫発生期は第1世代が5月中〜下旬、第2 世代は7月中〜下旬、第3世代は9月中〜下旬である。生育は気温の影響を受け、一般に平坦部に比べ標 高の高い山間部では1週間程度発生時期が遅れる。また同様の地域でも、わずかな立地条件や整剪枝等 の栽培状況の違いによって発生時期に差が生じる。
  雌成虫の介殻内でふ化した幼虫は歩行あるいは風に乗って移動した後、樹皮に定着する。定着後、雄は まゆをつくって蛹になり、羽のある成虫となる。
  一方、雌は介殻を作り、その中で一生を過ごす。産卵数はチ ャ寄生では50〜100粒と増殖率が極めて高 いため、防除を怠ると1世代で多発を招く。はなはだ雑食性で、チャ以外にも多くの樹木に寄生する。
  被害は、幼虫や雌成虫が樹液を吸汁して加害するため、新芽が伸びず、葉が黄化、落葉し、さらには枝幹 が枯死して、著しく茶園が荒廃する。このような茶園での収量はほとんど皆無となるので、加害の程度として はチャ害虫の中で最もひどい。

3.写真