内穎褐変病  Erwinia herbicola

〈生態と防除のねらい〉

 出穂数日後から内穎の基部あるいは内外穎の縫合部付近から淡紫褐変し始め、1〜2日後には内穎全体が紫褐変あるいは暗褐変する。外穎も同時に褐変する場合があるが、外穎のみが褐変することはほとんどない。護穎、副護穎、枝梗は褐変することはない。褐変は出穂後早い時期ほど鮮明で、登熟が進むにつれてやや退色するが、収穫期まで残る。罹病籾の玄米は茶米、死米などの不完全米が多く、内穎に接する側がやや色が濃い。
 病原細菌の生育適温は28℃前後で、イネ体のどこでも常在し、普段は何ら害をもたらさないが、環境が菌の生育に好適となった場合のみ、病原力の強い特定の菌株が本病を引き起こすと考えられている。
 開花と感染は密接な関係があると思われ、出穂2〜3日目が主要な感染時期と考えられる。また、発生は年次間変動が大きく、出穂期の降雨と出穂後の高温条件(30℃以上)が発生を助長すると考えられている。
 現在のところ、玄米の品質と収量へ及ぼす影響については異論があるが、玄米の品質(千粒重の低下及び淡茶米、青米、奇形米の増加)への影響が大きいという事例があることから、多発生が予想される年は薬剤防除が必要である。

〈薬剤防除法〉

 発生してからの散布では効果がないので、いもち病やもみ枯細菌病と同時 防除を兼ねて予防散布する。

〈参考資料〉

 玄米の品質、収量に及ぼす影響については1991年度指導資料(P27)参照