白葉枯病 Xanthomonas campestris pv. oryzae
〈生態と防除のねらい〉
主な伝染源はイネ科雑草のサヤヌカグサの根圏土壌や地下茎上、または稲切り株で越冬した病原細菌で、潅漑水を通して伝染する。
病斑は葉縁にそって基部方向に黄色に拡大し、のちに灰白色となり、健全部との境界部は長い波形となる。また、新しい病葉の葉縁の部分には、水孔から排出された黄色の粘塊(細菌の塊)が見られることがある。病葉を横断して葉片の切口を水に入れると、導管から本菌が漏出し、菌密度が高い場合は水が白濁するが、わかりにくい場合は、1辺5mm程度の病葉をプレパラートに作製し、導管部からの菌の漏出を観察すると良い。
普通期栽培では分げつ期頃から発病する。病原菌の発育適温は23〜27℃で、夏期の高温乾燥で一時病勢は停滞する。
菌の感染経路は、水孔や傷口に限られ、浸冠水や風雨などによる激しい傷害がない場合には、坪状に発生する。特に出穂期頃に台風によって葉に傷ができると、病葉等から飛散した病原細菌によって、急激に蔓延し、全面発病となる。
初発病が最高分げつ期〜穂ばらみ期の場合は、止葉以下上位3葉の発病に及ぼす影響が大きくなり減収する。出穂20日以降の発病は、収量への影響は少ない。
感染から発病まで約2週間程度あるので、出穂2週間前に発病を認めた場合は、防除を行う。
〈耕種的防除法〉
1.耐病性品種を選ぶ。
2.第一次伝染源のサヤヌカグサを堀り取って処分する。
3.被害わら及び切り株は早めに耕起して埋没するか、焼却する。
4.窒素過多にならないように施肥基準を守る。
5.朝夕、露のあるうちに発病田に入らない。
〈薬剤防除法〉
1.出穂2週間前に発病が認められた場合は防除を行う。
2.発生を認めてからの防除では効果が劣るので粉剤または水和剤を用いる。
3.出穂後の防除はできるだけ早く行う。
4.台風や集中豪雨または浸冠水にあった場合はその直後に散布する。
〈写真〉
葉の病斑
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多発ほ場
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