心枯線虫病  Aphelenchoides besseyi

T.育苗期

〈生態と防除のねらい〉

 病原線虫は罹病種子で越冬し、翌年の伝染源となる。水分を得ると活動を始めて籾の外へ遊出し、健全苗の葉鞘の合わせ目から内側に侵入し、生長点付近で生息するが、育苗箱では症状は現れない。
 罹病種子の籾殻を水中に入れると線虫(0.5mm〜0.7mm)が泳ぎ出すのが見られる。
本病は、種子伝染を主体とし、罹病苗を移植すると灌漑水によっても伝染するので、必ず種子消毒を行う。

〈耕種的防除法〉

 1.無病種子を用いる。
 2.線虫は籾殻内面に存在するので罹病籾殻を育苗箱に施さない。

〈物理的防除法〉

 温湯(56〜57℃)に10分間漬け、ただちに冷水で十分冷却する。温度や時間を厳守しないと線虫が死滅しなかったり、発芽率の低下をまねく。

〈薬剤防除法〉

 種子消毒(水稲の農薬一覧表参照)



U.本田期

〈生態と防除のねらい〉

 8月に入って葉先の白枯れ症状が目立ち、葉先3〜5cmくらいが黄白色または淡褐色に変色し、コヨリ状によれたりさけたりする。発生が進むと稔実不良でしいなが多くなり、黒点米を生じることもある。
 病原線虫は罹病種子や籾殻で越冬し、翌年の伝染源となる。水分を得ると活動を始めて籾の外へ遊出し、健全苗の葉鞘の合わせ目から内側に侵入し、生長点付近で生息するが、育苗箱では症状は現れない。また、潅漑水で伝染することから、広範囲の種子消毒が効果的である。発病ほ場では本田散布(出穂期)を行うと被害を軽減できるが種籾としては使用しない。

〈耕種的防除法〉

 無病種子を用いる。

〈薬剤防除法〉

 出穂期に散布する。

〈写真〉


被害粒       健全粒      被害粒
(胴切米)
 

葉の病徴(葉先がこより状に枯れる)