黄化萎縮病  Sclerophthora macrospora

〈生態と防除のねらい〉

 主に秋に感染した畦畔のイネ科雑草や麦類に寄生、時には被害わらや土壌中でも卵胞子として越冬し、第一次伝染源となる。
 卵胞子は12〜13℃と降雨により、遊走子のうを形成し、中から遊走子を放出するので、水は停滞状態より降雨下や緩く流れた方が感染しやすい。遊走子のうの形成・感染の好適温度は18〜20℃で23℃を超えると活動は衰える。イネ体の感染時期は、幼芽期と4葉期以降で特に7葉期で最も罹病性となり、幼穂形成期以後は感染しにくくなる。このため、移植後〜分げつ中期までの降雨や浸冠水は発病を助長する。
 病徴は感染時の展開葉から2〜3葉目に現れる。草丈、葉身長、葉鞘長、根長が短くなり、分げつが多く、葉の拡張度は大きくなる。葉幅は広く、黄化し、白いかすり状の斑点が連生したり、心枯線虫病に類似した葉先枯れ症状が現れる場合がある。降雨の後、葉の病斑部に白い粉状物(遊走子のう)が見られる。穂は出すくみ、短く、ねじれた小さな奇形穂を生じ、不稔となる。
  

〈耕種的防除法〉

 1.本田初期の浸冠水を回避する。
 2.伝染源である畦畔の雑草や被害わらを焼却する。

〈薬剤防除法〉

 常発地や発生の恐れがある場合は、初発生時期(移植2〜3週間以後)、または浸冠水直後に施用し、4〜5日間は湛水する。
 

〈写真〉


萎縮した株