苗立枯細菌病  Pseudomonas plantarii

〈生態と防除のねらい〉

 本県では1994年に初確認された。まず第2葉の葉身基部および葉鞘の黄白化症状がみられ、次第に萎凋し、帯状あるいは苗全体が赤褐色となって枯死する。また、本病は発根、根の伸長及び緑化を阻害したり苗を枯死させる毒素(トロポロン)を産生するため、根の生育が極めて悪い。本病の病徴ともみ枯細菌病菌による苗腐敗症とは似ているが、発生初期であれば、もみ枯細菌病の場合は芯葉が腐敗し容易に引き抜けるのに対し、本病の場合は引き抜けないことで識別できる。しかし、本病でも病徴が進んだ苗では芯葉は容易に引き抜けるために識別できない。
 主な伝染源は罹病種子である。本菌の感染は浸種から播種4日後までで、それ以降の二次感染はないようである。感染苗の発病は育苗期の温度に影響され、30〜34℃で発病は著しいが、30℃以下では少なく、37℃以上では発病しない。
 本菌は罹病苗の葉鞘部と育苗土に存在し、移植後に菌密度は低下するが、株元で生息しており、出穂期の籾に感染する。また、籾に病徴を現さないため、塩水選では保菌種子の除去はできない。

〈耕種的防除法〉

 1.無病種子を用いる。
 2.催芽から育苗期間中、30℃以上にならないように温度管理に注意する。

〈薬剤防除法〉

 1.種子消毒(水稲の農薬一覧表参照)
 2.育苗箱処理(水稲の農薬一覧表参照)

〈写真〉


発病苗