セジロウンカ 

〈生態と防除のねらい〉

 休眠性がなく、国内では越冬できない。トビイロウンカと同様に6〜7月中旬の梅雨期に海外から数回にわたって飛来してくる成虫が発生源となる。飛来密度は通常トビイロウンカに比べてかなり高い。中華人民共和国でハイブリッドライスの作付面積が増加するのに伴い飛来量が多くなっている。
 飛来後雌成虫は約4〜5日間の産卵前期間を経てイネ葉鞘の組織内に産卵する。産卵数は1雌当り300〜400卵で、25℃では卵期間6〜7日間、幼虫期間12〜13日を経て次世代成虫となる。発生量は飛来次世代(第1世代)が最も多く、第2世代以降は減少する。
 本種による被害は飛来成虫の産卵によるイネ葉鞘部の産卵部位の褐変、いわゆる産卵痕害と飛来次世代の成・幼虫による吸汁害である。
 産卵痕害によりイネの初期生育が抑制される。また外見上は見過ごされやすいが有効茎の減少、節間の短縮などにより収量低下を引き起こす。産卵痕害が激しい場合は下葉枯れとなり、さらに激しい場合ば坪枯れとなる。
 吸汁害の発生時期は普通期水稲では主要飛来期から約3週間目頃の第1世代老齢幼虫期である。第2世代以降はほとんど問題にならない。
 被害は成虫による産卵痕害より幼虫による吸汁害のほうが大きいので防除は飛来後第1世代の若齢期に行う。

〈薬剤防除法〉

 1.要防除水準
  飛来成虫数6頭/株
 2.育苗箱施薬
  施薬量が不足すると残効期間が短くなるので、1箱当たりの施薬量を厳守する。
 3.本田期防除
  吸汁害防止のための防除時期は主要飛来期から約2週間目(7月下旬頃)である。

〈参考資料〉

 温度別発育期間については付属資料参照。

〈写真〉


セジロウンカ成虫

セジロウンカ老齢幼虫

葉鞘の産卵痕
セジロウンカ老齢幼虫