スズメ・カワラヒワ 

〈生態と防除のねらい〉

 スズメは顔に大きな黒斑のあるのが特徴で雌雌全く同色である。春夏には一羽づつに分かれているが秋冬には大群をなして耕地に生息し、特に稲の出穂期には大きな被害を与える。
 カワラヒワはスズメくらいの大きさであるが、スズメよりもやや細身である。体は黄褐色で翼が黄色くすけて見える。くちばしの形はスズメによく似ている。尾羽の先はM字状である。本種の主食は木の実や草の種子であるがイネのほかソバやアワなども食害する。本種は冬季には大群を形成するが、イネの成熟期には小さな群れであるので被害は散発的である。
 1994年農総試場内の早期コシヒカリがカワラヒワにより食害され、被害が認められた。本種は10〜20羽位の群れを作って水田に飛来し、籾を食害した。本種に食害された穂では籾のない枝梗が目立った。なお、早期コシヒカリ以外の品種では本種による被害は小さかった。本種による被害が県内でどの程度観察されるか明らかでない。
 鳥による被害に対しては出穂期を揃えて集団栽培することが最良の予防手段である。防雀網の覆いを水田に掛けることも有効であるが、カワラヒワではスズメより目の細かい網を張る必要がある。また防鳥糸を穂ばらみ期から穂の上部約30p位の位置に約60p間隔で張る。カワラヒワは天敵のタカ類には弱いので、精巧な模型が有効と推測されている。
 最近混住化が進み、水田近くに勤労者の住居が多くなってきた。このため爆音器の使用に際しては下記の注意事項を守り、住居近くでは使用しない。

〈爆音器使用上の注意〉

 1.爆音器の使用については近所の了解を得て使用する。他に迷惑のかかる恐れがある時間帯には極力使用しない。
 2.爆音器を使用する場合には住居から使用場所までの距離が300m以上になるようにする。
 3.住居から山際までの距離が極めて近い(約10m)地帯で爆音器を使用する場合は反響音を考慮して上記2より距離をとる。

 なお、本項では日本野鳥の会(1983)「野外観察ハンドブック@山野の鳥」(財団法人日本野鳥の会)、由井ら(1982)「鳥獣害の防ぎ方」(農山漁村文化協会)を参考にした。