赤かび病 Gibberella zeae〈生態と防除のねらい〉乳熟期頃から麦類の穂に発生する。穎の合せ目を中心に鮭肉色のスポロドキア(分生子座)が認められ、穂軸が侵されるとその上方は枯死し、古い被害穂上には、黒色で卵型の子のう殻が形成される。罹病穂の子実は、褐変粒、しわ粒及び屑粒が多くなる。種子伝染もするが、第一次伝染源としては、被害わら、切株及びイネ科雑草で越冬した菌糸、分生子、厚膜胞子及び子のう胞子が重要である。 穂の感受性は、開花期に最も高くなるため、この時期に飛散した子のう胞子及び分生子が主な感染源となる。菌の生育適温は24〜26℃で、胞子形成、飛散及び菌の侵入には多湿条件が必要であるため、開花期に曇天、降雨が続き、比較的暖かいと多発生となる。 降雨後など含水率の高い麦を収穫した場合、袋の中で本菌が蔓延することがあるのでただちに乾燥させる。また、病穀粒は家畜に有害であるため、与えない。 〈耕種的防除法〉1.窒素肥料が多いと開花がそろわず感染期間が長くなるため、適正施肥を行い、過剰な追肥を行わない。2.収穫後はただちに乾燥させる。 〈薬剤防除法〉1.薬剤散布は開花期から乳熟期、特に開花最盛期に重点をおいて実施する。2.降雨が続くときには雨の合間か、もしくは雨があがったあと1〜2回(5日間隔)散布する。 3.粉剤では散布後5〜6時間以内に降雨があると効果は減少するが、液剤では散布後、液剤が乾燥すると、その後の降雨による効果の低下はない。 〈写真〉
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