さび病類  Puccinia属

〈生態と防除のねらい〉

 葉や茎に鉄のさび色をした、盛り上がった粉質の斑点(夏胞子及び夏胞子堆)ができ、のちに黒褐色(冬胞子及び冬胞子堆)となる。病原菌は、収穫後のこぼれ麦や被害茎葉に感染して越夏し、秋に播種された麦に伝染し、夏胞子堆または菌糸で越冬する。また、ビャクシンにも寄生(中間奇主)して越冬する。
 春になって最も早く発生するのは黄さび病で、ついで子さび病、赤さび病で、黒さび病は遅い。また、発生は環境条件で左右されることが多く、窒素の多施用や早播きすると黄さび病、赤さび病、子さび病が発生しやすくなる。遅播きや多肥によって生育が遅れると後期に黒さび病が多発生する。冬から早春に暖かく、麦の伸長が早い年には黄さび病、赤さび病、子さび病が早くから多発生する。低温乾燥で生育が遅れると黒さび病が多発しやすい。防除は、初期から行い、特に蔓延の早い黄さび病ついては、防除を急ぐ必要がある。

〈耕種的防除法〉

 1.適期播種を行う。
 2.過繁茂になると発病しやすいので窒素肥料の偏用を行わず、リン酸及びカリを十分に施用する。
 3.被害茎葉は集めて焼却する。
 4.発病ほ場で収穫後に発芽した麦(こぼれ麦)は抜き取る。

〈薬剤防除法〉

 1.発病初期に行うことを基本とする。発生前に散布する場合は、出穂初期から穂ぞろい期に1〜2回行う。

〈写真〉


赤さび病の葉の病斑(品種:チクゴイズミ)

赤さび病の葉表の赤い病斑(夏胞子)

赤さび病の葉裏の黒い病斑(冬胞子)