大麦縞萎縮病、小麦縞萎縮病、麦類萎縮病 

 大麦縞萎縮病:Barley yellow mosaic virus(BYMV)
 小麦縞萎縮病:Wheat yellow mosaic virus(WYMY)
 麦類萎縮病:Soil-borne wheat mosaic virus(SBWMV)

〈生態と防除のねらい〉

 小麦、大麦、ライ麦に発生する麦類萎縮病、小麦だけの小麦縞萎縮病、大麦だけの大麦縞萎縮病の3種がある。これらは、単独に出ることもあるが、多くは同一ほ場で混発する。
 萎縮病は、縞萎縮病より緑色が濃く、萎縮が著しく、黄緑色のモザイクが長い縞になるが、縞萎縮病は、茎葉が黄化し、葉の黄緑色のモザイクがかすり状となる点で異なる。いずれのウイルス病も病葉の表皮細胞内に顆粒状のX体が認められるが、4月以降、病徴とともに除々に消失する。
 ウイルスは土壌中のポリミキサ・グラミニス菌の媒介で播種10日後から1カ月位の間に根から感染する。発病は早春新葉の伸長開始後で、この時期には新たな感染及び蔓延はない。ウイルスの増殖適温は10〜15℃で、媒介糸状菌の遊走子は土壌中を泳ぎ根に侵入するため、播種1カ月位の地温が15℃前後でかつ適度の降雨があった年に感染が多い。そのため、一般に適期播種した麦に発生が多い。
 土壌伝染病で、ウイルスは3〜15cmの土壌に存在し、一度発生すると少なくとも4〜5年間(畑ではそれ以上)休作しても無病化しない。このため、遅播き、休作、深耕などでは、防除効果は不十分であるので、抵抗性品種の栽培を行う。

〈耕種的防除法〉

 1.耐病性品種を栽培する。
 2.発病のおそれのある圃場では次の点に注意する。
 (1) 20cm以上の深さに反転耕起を行う。なお、使用した機械は泥の付着がないように良く洗う。
 (2) 播種適期内で遅めに播種する。
 (3) 播種量を20〜30%増して、被害を軽減する。

〈写真〉


小麦の縞萎縮病
大麦の縞萎縮病

縞萎縮病発生ほ場