カラス 

<生態と防除のねらい>

 本県に生息する主なカラスは、ハシボソガラスとハシブトガラスの2種で、ほぼ全国に分布している。両種とも全身が黒く、外観は酷似しているが、ハシブトガラスの方がやや大きく、くちばしが頭部に対し太く盛り上がっている。
 カラスは雑食性で、穀類、野菜類などの植物質のほか、昆虫類、魚介類、ネズミ類、小鳥類などの動物質のものも食し、繁殖期には動物質を多く、非繁殖期には植物質の餌を多くとる傾向がある。植物質で最も多いのは禾穀類で、全体の20〜40%を占める。イネやムギの種子、トウモロコシの穂や出芽苗などを加害し、農作物の鳥害ではカラスの被害が圧倒的に多い。
 カラスは適応力が非常に強く、農耕地、海岸部周辺、山間部のほか市街地でも多く生息している。カラスの生活は、春から夏にかけての繁殖期と秋から冬にかけての集団生活期に分けられ、繁殖期はほとんどの個体がつがいを形成し、縄張りをもって1日の大半を巣の近くで生活する。繁殖個体は雛が巣立つと、はじめは家族単位で行動することが多いが、徐々に大きな群を形成し、やがて巨大な集団でねぐらを作るようになる。
 カラスによる被害を回避する方法としては、追い払い法、狩猟による個体数調整がある。追い払い法では、いずれの方法も継続的な使用によって慣れを生じやすいため、二つ以上の刺激(方法)を複合して同時に処理するか、一つの刺激(方法)の処理期間はなるべく短くして他の刺激(方法)と取り替えると、単独の場合より忌避効果は強くなることが多い。

<追い払い法>

 1.ビニル袋、旗、防鳥テープ、カラスの死体などを畑にぶら下げる視覚刺激によるものと、爆音機などの聴覚刺激、テグスを張り渡すなどの触覚刺激によるものがある。
 2.爆音器使用上の注意
 (1) 本器の使用については、近所の了解を得て使用する。他に迷惑のかかる恐れがある時間帯には極力使用しない。
 (2) 爆音器を使用する場合は、住居から使用場所までの距離が300m以上になるようにする。
 (3) 住居から山際までの距離が極めて近い(約10m)地域で爆音器を使用する場合は、反響を考慮して上記よりさらに距離をとる。