ハスモンヨトウ 

〈生態と防除のねらい〉

 九州では5〜6回発生し、秋大豆では2〜3世代を経過する。本種の卵は大豆葉裏に卵塊で産みつけられ、ふ化後2齢くらいまでは群棲して摂食する習性があるため、食害を受けた葉が白くみえる(白変葉)。この白変葉(若齢幼虫群)のピークは、7月上旬〜8月上旬、8月下旬〜9月上旬および9月下旬〜10月上旬の3回であるが、通常、秋大豆における第1世代の発生量は、多発生年を除くと極めて少ない。3齢幼虫期以降は分散して食害するようになるが、全幼虫期の摂食量の約95%は老齢幼虫によるもので、第2世代の中〜老齢幼虫による食害が9月中〜下旬に目立ってくる。また、9月下旬頃からは葉だけでなく、莢・子実も加害するようになる。白変葉の発生量は第2世代より第3世代のほうが多い傾向にあるが、9月下旬以降になると昆虫寄生菌による幼虫の死亡個体が増加してくるので、白変葉数のわりに第3世代幼虫による食害は少なくなる。
 ハスモンヨトウの防除については、中〜老齢幼虫には薬剤の効果が劣るので、食害量の少ない若齢幼虫期に実施する。防除時期は、収量に及ばす影響が最も大きい第2世代の若齢幼虫期(8月下旬〜9月上旬)が重要である。

〈耕種的防除法〉

 白変葉を早めに除去する。

〈薬剤防除法〉

 1.第2世代若齢幼虫最盛期(8月下旬〜9月上旬)と子実肥大期(9月中旬)に1〜2回散布する。多発生の場合は8月上〜中旬および9月中旬に補正散布を行う。
 2.フェロモントラップによる誘殺数を利用する場合は、誘殺ピークから2週間目が防除適期となる。
 3.薬剤感受性が異なるので、薬剤の選定に注意する(指導資料参照)。

〈写真〉


卵塊(大豆の葉裏)


1齢幼虫(頭が黒い)

2齢幼虫


3齢幼虫

6齢幼虫




成虫

葉の食害(白変葉)