ハト 

〈生態〉

 日本に野生するハトはキジバト(ヤマバト)が最も多く、その他ドバト、シラコバト、アオバト、カラスバトがいて、キジバト、ドバトによる農産物の被害が多い。
 キジバトは首の横に灰青色の美しいしま模様がある。
 神社、仏閣にいるのはドバト(堂鳩)でイエバト、カイバトともいわれ、カワラバトの半家きん化したものである。
都会で増殖したドバトは、やがて郊外へ進出し、さらに農耕地に害をあたえるにいたっている。季節によりその 時期の一番多い収獲物(又は存在物)が多く摂食されるようである。
 普通の鳥はひな養飼中は親鳥もひなも動物質をとるが、ハトは全て植物質である。
 植物の少ない時には数十キロメートルも離れた畑などまで摂食に行くこともある。



キジバト

 青森畑園試の観察では、キジバトは発芽時のダイズを摂食するのは早朝(午前3時50分〜6時30分)と夕刻(午後4時〜6時)で後帰巣する。最初に飛来するキジバトは近接の林の梢にとまり、安全を確認してすみの方から用心しながら入る。これをみて、第2、第3陣の鳩がまっすぐ着地し、猛然と摂食し始め、20〜30分内が一番激しい。
 播種時7日目から被害が始まり、発芽揃でおおむね被害は止まる。



ドバト

 ドバトはキジバトにくらべると、集団性があるから飛来するようになると、しだいに仲間をつれてくるので、被害はしだいに大きくなる。とくに豆類では、子葉から初生葉の出るころまでに全滅的な被害に発展する。
 たいていはビルの空気穴、駅などの軒下、高速道路下などの比較的広くて雨の当らない場所に巣を作る。寿命は10〜20年と言われている。相当長生する鳥である。通常6か月位で成熟し、2〜3才で最も充実し、10才くらいまで繁殖を続ける。



〈防除対策〉

 現在のところ忌避剤による簡便な防除法がない。物理的な方法が試験中で有効なものも見出されているが、実用上まだ問題があり、普及性についてはなお試験を実施する必要がある。
 青森県畑園試の試験結果から次の方法が有効な方法として上げられている。

 1.防鳥網の設置
  高さ1.3mに張り、横にも張って歩いて侵入するのを防ぐ。
 2.かかし
  キジバトに対し等身大のものを10aに1〜2体、電動かかし(旗2本上下張り)を30aに1本設置すると有効である。しかし、ドバトに対しては効果がない。

 3.ラゾーミサイル
  爆音と羽様体打上げを組合ぜたもので50aに1体設置する。
 4.回転式防鳥機
  3mの回転棒の先にキヒテープを毎分50回程度回転させ、10aに1台設置する。しかし、回転が単純であると効果が劣り、特にドバトはすぐに馴れて効果が無くなる。