白紋羽病 Rosellinia Necatrix Prillieax

1.発生生態

 病原菌は子のう菌類の一種で、被害根の残渣上で生存する菌糸束が伝染源となる。感染初期は根部に病原菌が寄生しても外観上は健全であるが、地上部に葉の黄変や萎ちょうなどの樹勢の衰弱が認められるころには、根部の表面には白色の菌糸束がからみつき褐変腐敗している場合が多く、このため防除が手遅れとなり枯死することが多い。病原菌の寄主範囲はきわめて広く、43科83種で発生が認められている。花木では、バラ、ツツジ類、ジンチョウゲなど、果樹ではリンゴ、ナシ、モモ、スモモ、ウメ、プドウ、カンキツ、ピワ、イチジク、カキ、クリなどほとんどすべての種類を侵す。花木、果樹以外でもサクラ、クワ、チャ、ナラ、カシ、ケヤキその他多くの植物に寄生する。

2.防除のねらい

 病原菌は植物体のセルロースを炭素源として利用するので、土壌中の粗大有機物は繁殖を助長する。したがって、粗大有機物が敷き込まれた園や開墾後の新植園、果樹、森林、桑なとの跡地に発生し易い。
 病原菌の発育は土壌に空気の流通がよい場合、温度20〜25℃、土壌酸度は弱酸から中性くらい、土壌湿度は容水量の70〜80%くらいが好適である。なお、樹勢が弱った場合は多発しやすく、病勢が急激に進むので樹木、花木等は強健に育てる。

3.防除法

・耕種的防除
(1)新植の場合には無病地を選ぷ。
  病原菌の有無を調査するためには検知植物となるタイズなどを植えたり、せん定枝を束 に
  して地中に挿枝して確認する。
(2)罹病苗を持ち込まない。
   いったん病原菌が持ち込まれると防除が困難である。
(3)乾燥、寒害を防ぎ、又、強せん定を避けて樹の保健に努める。
・薬剤防除
(1)植付前の処理
  苗木消毒の場合は、45℃の温湯に60分間浸漬するか、トップシンM水和剤500倍液に
  10分間根部を浸漬する。あらかじめ病株、病根等を除去した後、その樹の根圏範囲を
  約60cmの深さに耕起、整地し、クロルピクリンを注入する。全面処理の場合は、30cmX
  30cmごとに深さ約30cmの穴をあけ、クロルピクリンを1穴当たり5〜10ml注入し、直ち
  に覆土し、ポリエチレン、ビニル等で被覆する。処理後20日以上経過してから植え付ける。
(2)立木処理
  罹病樹の根部を掘り出し、患部を削り取ったのち、トップジンM水和剤500〜600倍液
  をu当たり10リットル程度潅注しながら土壌に埋め戻すか、
  フジワン粒剤を1樹(5年生以上の成木で直径15cm以上)当たり3〜5kg土と混和しなが
  ら埋め戻す。    

4.写真

 
被害根 被害根

 写真:福岡県園芸・茶病害虫図鑑より