7.スリップス類近年スリップス類による花き、野菜、果樹の被害が増加する傾向にあるが、生態が不明な種が多い。広範囲の花きを加害するスリップスには、ヒラズハナアザミウマ、ネギアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマなどがいる。1.生態と被害多くのスリップスは多数の作物や雑草を寄生植物としており、高温乾燥時に繁殖が旺盛になる。ヒラズハナアザミウマは、25℃では卵期間3日、ふ化〜羽化までは約7日と非常に発育が速い。また、平均産卵数は約500個である。成虫越冬する種が多いようであるが、施設栽培では冬季でも幼虫もみられる。スリップスは葉や花弁を食害、吸汁し葉緑素や花の色素を破壊するため、葉や花にカスリ状の小斑点を生じたり、変色するばかりでなく、つほみや新芽の展開が妨げられることもある。 ミカンキイロアザミウマについては指導資料(P5〜10)参照 2.防除のねらい(1)スリップスによるカスリ状の被害はハダニによる被害と混同する場合もあるので虫の確認をする。スリップスは成虫、幼虫とも1mm前後の細長い体形のものが多いが、ハダニは体 形が丸味をおびている。 (2)広範囲の植物に寄生するので、寄生した株を施設等に持ち込まない。また、ほ場周辺の 雑草等繁殖源となるものは除去する。 (3)花に寄生すると価値がなくなるので、開花前から防除を行う。スリップスは葉裏に生息 することが多いので、薬剤は葉裏にかかるように散布する。 3.写真
写真:福岡県園芸・茶病害虫図鑑より |