8.コナジラミ類従来のオンシツコナジラミに加え、薬剤抵抗性の発達したタバココナジラミ(新系統)の発生が福岡でも確認された。欧米ではタバココナジラミを対象とした殺虫剤の使用が、マメハモグリバエの発生をさらに助長するという悪循環も指摘されている(西東、1992)。形態 タバココナジラミの卵は長楕円形から紡錘形で、短い卵柄で葉の表面に垂直に一個ずつばらばらに生みつけられる。本種とオンシツコナジラミは一見したところ非常に似通っているが、蛹では背面の刺毛の有無、側面からみた形等で両種の識別が可能である。 また、成虫では静止時の翅のたたみ方の違いにより見分けることが可能である(下表、下図参照)。形態の違いの他に、オンシツコナジラミに登録のある殺虫剤等で防除が困難な場合に は、タバココナジラミ(新系統)の発生を疑う必要がある。 第8表 タバココナジラミとオンシツコナジラミの見分け方
1.生態及び被害英名でホワイト・フライと呼ばれるように、オンシツコナジラミとタバココナジラミいずれの成虫も白色を呈している。寄主植物の範囲、生態および加害様式等には類似点が多い。タバココナジラミは現在ポインセチア・ホワイトフライと呼ばれ、ポインセチアでの被害が顕著であるが、オンシツコナジラミの寄主植物として報告されているホクシア、ペラルゴニウム、ゼラニウムやその他の花き類でも被害が懸念される。特に、タバココナジラミは増殖力が高いため、短期間のうちに高密度となり、吸汁害による葉の退色、萎ちょう、生育阻害を起こす。また、葉、花や果実に付着した排泄物にすす病が発生することが知られている。2.防除のねらい(1)繁殖力が旺盛で、発生密度が高くなってからでは防除が困難なので、早期発見につとめ初期防除を徹底する。 (2)葉裏に生息するので、薬剤が葉裏まで十分付着するするように散布する。 (3)タバココナジラミ(新系統)はオンシツコナジラミに比べて薬剤感受性が低いので、幼虫の 生息密度が高い葉を除去するなどの耕種的防除を併用することが望ましい。 (4)コナジラミ類のまん延は苗の流通に伴うことが多いので、既発生地からの苗の導入に際 しては、初期の発生に十分注意する。 (5)栽培終了時、日中にハウスを閉め切ったまま1〜2週問おき、室温を50℃近くまで上げる ことにより、へい死させる。 参考資料 大戸謙二(1990)タバココナジラミの発生とその見分け方 植物防疫44:264−266 3.写真
写真:福岡県園芸・茶病害虫図鑑より |