17.ヨトウムシ類(ヨトウガ、ハスモン∃トウ、シロイチモジ∃トウ)1.発生生態(1)ヨトウガ年2回の発生で、土中で越冬する。4月上旬〜5月中旬、9月上旬〜10月中旬に成虫が現われる。 卵は1卵塊150粒程度まとめて葉の裏の数カ所に産みつけられている。ふ化幼虫は初め群生し、葉の裏から食害するので、被害葉は白い表皮だけとなり、不整形の斑点となって見える。令が進むと分散し、大きな葉脈だけを残し、著しく食害する。老令になると昼間はかげにひそみ、夜間活動する。幼虫は5〜6月、9〜10月に発生、30日程度で蛹化し越冬、越夏する。防除の適期は、5月上旬と10月上旬ごろである。極めて広食性である。 (2)ハスモンヨトウ 年5〜6回の発生で、土中にさなぎ又は幼虫態で越冬する。卵は葉裏に卵塊で産みつけられる。幼虫期問は夏季で1カ月間、さなぎは7〜10日間で羽化する。2令幼虫ごろまで群生し、葉の表皮を残して食害する。大きくなると昼間は葉裏、物かげにひそみ、夜間作物の葉を食害する。特にキクに多く発生する。 (3)シロイチモジヨトウ 卵から羽化までの発生所要日数は、20℃では約55日、25℃では約29日、休眠なしで一年間に5世代を繰り返すと推測される。 フェロモントラップによる調査では、筑紫野市では7月下旬から飛来が始まり、8月下旬から11月下旬にかけて飛来が多い。加害作物としては、ネギ、ハクサイ、キャベツ等の野菜に加え、花きではカーネーション、トルコギキョウ、宿根カスミ草、キク、スターチス、マーガレットやスイートピー等で幼虫による加害が報告されている。 なお、薬剤感受性が低下した本種に対する有効な防除手段として、合成性フェロモン剤(商品名:ヨトウコンS)による交信かく乱法が注目を集めている。雌雄間の交信を化学的にかく乱することを目的としているため広面積への処理が必要となるが、抵抗性の発達がないこと、効果が長期間に持続し、薬剤散布回数の低減につながる等の利点がある。 2.防除のねらい(1)ふ化直後から3令までに薬剤散布を行う。(2)若令幼虫の群生期に早期発見に努め葉裏を重点に薬剤散布する。 3.写真
写真:福岡県園芸・茶病害虫図鑑より |