4.グラジオラスアザミウマ 

1.生態と防除のねらい

 62年に我が国で初めて発生が確認された侵入害虫で、体長1.4〜1.9mm、体色は灰褐
色〜暗赤褐色である。
 本虫はグラジオラスのほかカーネーション、ダリア、アイリスなどの花き類を加害すると言われているが、我が国ではこれまでのところグラジオラス以外に被害は認められていない。
 茎葉が加害されると淡黄色〜銀色の条斑や斑紋を生じてしおれ、激しい場合には褐変枯死する。花では白色斑点を生じ著しく形がくずれ、多くの蕾は開花しなくなる。貯蔵中の球茎では表面がべとべとして汚れ、灰褐色の粗い斑点を生じる。被害球は発芽、発根、開花が不良となる。
 一世代は27℃で約2週間、16℃で約4週間、夏期には6世代以上発生をくり返す。本虫は秋に球茎に寄生し、貯蔵庫へ運ばれる。春に球茎とともにほ場に持ち込まれ、芽の伸長とともに地上部を加害する。したがって、被害のあったほ場で採取した球茎は、消毒後貯蔵することが重要である。また、暖地では土中での越冬も可能であると考えられているので、定植前に土壌消毒を行うことも有効と思われる。