1.球根腐敗病 Fusarium oxysporum Schlechtendhal f. sp. tulipae
          Fusarium solani f. sp. radicicola race 1

1.生態と防除のねらい

 根およびりん茎に発生し、露地栽培では開花期ころから全身が退色し、萎ちょう枯死する。発病株の基部は細くくびれ、維管束が褐変する。りん茎の腐敗は根や底盤部から起こり、病斑部にはネダニの寄生や軟腐病、青かび病等が併発しやすい。施設における促成栽培で被害が大きく、発芽直後の立枯れや発芽前の腐敗を生じる。また、球根の貯蔵中にも腐敗する。
 病原菌は、被害植物の残渣とともに厚膜胞子の形で土壌中に長期間残存して伝染源となるほか、被害球根では菌糸の状態で越年して伝染する。菌の発育適温は28。Cで、地温が20℃前後になると発病し、25〜28℃では激発する。
 病原菌は土壌中で耐久体(厚膜胞子)の形で4〜5年以上生存できるので、発病圃場は連作を避け、イネ科植物との長期輪作を行うか、太陽熱による土壌消毒等を実施すると発病が少なくなる。

2.防除法

 ○耕種的防除
(1)連作を避け、健全土壌に栽培する。
(2)球根を傷つけないように栽培管理を行う。
(3)促成栽培では夏季に太陽熱土壌消毒を行う。
(4)被害株や被害球根は早めに除去し、焼却処分する。
(5)未分解有機物(青刈作物等)を多量に施用すると一時的に病原菌カが増加するので、植え   付けには使用しない。
(6)切花栽培では、敷わら等を行って、地温が20℃以上にならないように管理する。