イグサシンムシガ

1.生態と防除のねらい

 年5回発生する。本田に苗で持込まれ、幼虫で越冬する。
 成虫越冬世代は4月下旬〜5月上旬、第1世代は6月中旬、第2世代は7月中旬、第3世代は8月中旬、第4世代は9月中旬〜下旬に発蛾最盛期がある。
 卵は茎に産みつけられる。ふ化直後の幼虫は体長2o内外で茎の先端付近の食害が多いが、2〜3齢になると株もとの葉鞘の先瑞付近より食入し、下方に進み生長点付近まで達するため、茎は変色枯死する。なお、落水状態では幼虫の地際部食入が容易になる。
 本田では越冬世代幼虫、第1世代幼虫及び第2世代幼虫が加害する。
 八月苗床では第4世代幼虫及び越冬世代幼虫の被害を受けるが、防除の主体は越冬世代幼虫である。 

2.防除法

(1) 耕種的防除

 ア.硬質の品種(筑後みどり、いそなみ)を選定する。
 イ.健全苗を植え付ける。
 ウ.窒素過多で軟弱な生育を避ける。
 エ.5月上旬〜中旬、6月中旬〜下旬頃(幼虫食入期)湛水状態にする。
 オ.被害が多く出始めたら早めに刈り取る。

(2)薬剤防除

 ア.本田では、第1世代幼虫の防除に重点をおき、5月上旬〜中旬に2回、発蛾最盛日の約1   週間後とその1週間後に散布する。第2世代幼虫は6月上旬〜中旬に2回、発蛾最盛日の  約1週間前と発蛾最盛日頃に散布する。
   なお、第1世代幼虫の発生時期が平年より早い年は、防除の回数を増す。
 イ.倒伏防止網をかけた後の散布は、なげこみ剤や粒剤を使用する。なお、粒剤を粒剤用多   孔ホース粉頭で散布する場合は、杭の高さが2mを超えると防除が困難である。
 ウ.八月苗の防除は9月中旬、下旬に1〜2回散布する。
 エ.苗床の防除は液剤散布が望ましい。

薬剤名有効成分(%) 散布量濃度(倍)          備            考
ダイアジノン粒剤3ダイアジノン(3)4〜5kg劇物、魚毒性が強いので、散布には十分注意する。
アルフェート粒剤モノクロトホス(5)4〜5kg劇物
パダンSG水溶剤カルタップ塩酸塩(75) 1,500劇物
パダン粉剤カルタップ塩酸塩(2)3〜4kg  
シクロサールU粒剤2  シクロプロトリン(2)  1.5〜2kg比重が軽いので、風の強いときは散布を避ける。
シクロパック粒剤シクロプロトリン(5) 10個1袋60gを10a当たり10個施用する。
第2世代幼虫に対して散布する場合、いぐさ株が繁茂しており投込みでは水面に落下しないので、確実に水面上に置く必要がある。
なげこみトレボンエトフェンプロックス(4)50ml×6深水で10a当たり6個 (300ml)投入する。
施用後は3〜4日の潅水期間を要するので漏水過多田での使用は水深に十分注意する。施用にあたって、投げ込み施用は可能であるが、いぐさ株が繁茂している場合には確実に水面上に置く。
本剤は油剤で溶解後水面上に拡散するため、強風下での使用を避ける。

(参考資料)
 イグサシンムシガに対する薬剤の防除効果(1995年)   (福岡農総試合筑後分場)

薬 剤 名使用量処 理 時 期被害茎率(%)



長茎中短茎合計
なげこみトレボン(4%)
ダイアジノン粒剤(3%)
無 処 理
50ml×6/10a
4s/10a
   −
6/15、6/22(第2世代幼虫)
6/15、6/22(第2世代幼虫)
        −
0.04
0.04
0.08
 0.08
 0.20
 0.72
0.06
0.10
0.14
54
30


注)長茎は105p以上の茎、中短茎は75〜105pの茎。

3.写真