白絹病 Sclerotium rolfsii Curzi

1.発生生態

 病原菌は非常に多犯性であり、160種以上の植物を侵す。本菌の生育適温は30℃と高温性で、菌糸の伸長も速やかである。露地栽培では高温期、とくに梅雨期から夏の終わり頃にかけて、多湿状態で被害が多い。主に地際部から発病し、根、茎が水浸状に軟化腐敗し、枯死する。
はじめ被害部あるいは株の周辺の地表面に絹糸状の白色の菌糸が密生し、その後銀白色のちに茶褐色の粟粒大の球型をした菌核を多数形成する。病株上に形成した菌核は落下後、越年し、翌年の主要な伝染源となる。なお、菌核は土壌中で5〜6年間生存する。
 本病はマメ科やナス科植物を栽培した跡地や酸性土壌で発生しやすい。また、定植時にわら
等の有機物を多量に土壌に混和したり、敷わらをすると土壌湿度が高まり、多発する。

2.防除のねらい

 土壌中に残存した菌核が第一次伝染源となるので、前年発病したほ場ではできるだけ連作を避けるか、土壌消毒を行う。また菌核は3〜4ケ月湛水すると死滅するので、水稲との輪作が有効である。栽培期問中は発病株の早期発見につとめ、病株の周辺土面や敷きわらにも注意し、菌核や菌糸が見られる場合は、ただちに表土や敷わらと共に除去し感染源を少なくする。
育苗床で感染した保菌苗の持ち込みも多いので育苗床では無病土を使用する。

3.防除法

 ・耕種的防除
  (1)連作を避け、床土は無病土を用いる。
  (2)被害株、病菌のついた敷わら等は直ちに除去、焼却する。
  (3)3〜4年間水稲と輪作するか、田畑輪換を行う。
  (4)植え付け前に石灰を施用し、土壌酸土を矯正する。
  (5)無病苗を植え付ける。    

4.写真

病茎 菌核

 写真:福岡県園芸・茶病害虫図鑑より