ミカンキイロアザミウマ

1.生態と防除のねらい

 本種は「ミカン」という種名を冠されているが、花き類の被害が最も大きい。本種の加害範囲は広く、果菜類や雑草上でも多くみられる。果樹ではカンキツ以外にブドウ、モモ、カキで被害が報告されているが、いずれも施設栽培に限定されている。
 カンキツでは、ハウスミカンが着色期以降に加害を受ける。加害部は油胞を残してやや白っぽい斑紋になる。被害程度の高い果実では果頂部から果側部にかけて広範囲に加害痕が残り、そこから腐敗することがある(口絵写真参照)。本種の加害痕はミカンハダニのものと類似するが、脱皮殻がない、被害痕は果頂部にまとまらない等の点で区別できる。また、ヒラズハナアザミウマの加害痕とも似るが、本種による被害は果実と果実が接した部分に偏って出ることは少ない。
 本種はハウス周辺の雑草の花などで繁殖した個体が飛来して加害するので、青色粘着シートを用いて飛来をモニターし、防除の要否を決定する。ハウスミカンでは果実の油泡が着色する頃から寄生が始まるので、この時期以降を防除時期の目安とする。ただし、着色期以降のハウスミカンは薬液の付着による着色遅延斑(緑色リング状)を生じやすいので注意する。

2.防除法(耕種的防除)

 (1)  ハウス周辺の雑草の管理を徹底し、飛び込みを少なくする。

3.写真 


成虫



被害果