灰色かび病  Botrytis cinerea

1.生態と防除のねらい

 若葉と幼果に発生し、若葉では葉先または葉縁部が水気を失って灰褐色となり、その後、病斑の周縁部は波状となり、巻葉して落葉しやすくなる。幼果ではガク片や花弁が侵され、落弁後、果実の表面に小黒点を生ずる。
 病原菌は被害葉上では菌核及び菌糸の状態で越冬し、翌春になって被害葉上に分生胞子を作り、第一次伝染源となる。
 本病原菌はカキをはじめ、極めて多くの作物を侵す多犯性の菌のため、カキの被害葉ばかりでなく、周辺の各種作物や枯葉で形成された分生子からも飛散して伝染する。そして、カキの若葉に発病すると、新しい病斑上に分生胞子を生じて二次伝染源となり、展葉中の若葉に次々と伝染を繰り返す。
 葉での発病は“伊豆”で特異的に多発し、特に4月上旬〜中旬の発芽期に降雨が続くと大発生し、早期落葉のため被害は甚大である。幼果での発病は“西村早生”に多く、4月下旬〜5月上旬の開花期〜落弁期に降雨が続くと、幼果のガク片や果実の表面に小黒点を生じ、商品価格を低下させる。
いずれも窒素肥料過多の軟弱徒長の樹で被害が大きい。
 防除対策として、“伊豆”では4月上旬〜中旬に降雨が続く年は、展葉直後から薬剤防除を行い、二次伝染を防ぐため被害葉は早急に除去する。“西村早生”では4月下旬〜5月上旬に降雨が続く年は、開花期から落弁期にかけて薬剤防除を行い、罹病花弁は早急に除去する。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 落葉を集め、焼却または埋没する。
 (2) 被害葉や罹病花弁は早急に除去する。
 (3) 窒素肥料過多による軟弱徒長枝を発生させないようにする。

3.写真 


幼果の被害

幼果の発病

葉の発病