フジコナカイガラムシ 

1.生態と防除のねらい

 本種は年3回発生し、主として幹の粗皮間隙や切り口に幼虫態で越冬する。越冬幼虫は4月に越冬場所から新梢へ移動し、5月には成虫に発育して産卵を開始する。第1世代幼虫は5月中下旬〜6月中旬、第2世代幼虫は7月下旬〜8月中下旬に発生、第3世代幼虫は9月下旬頃から発生しそのまま越冬する。第2世代以降は齢期が乱れ、各ステージが同時にみられる。
 防除は、越冬場所から離脱する幼虫及び比較的齢期のそろった第1世代幼虫を中心に行う。第2世代以降は齢期の乱れにより防除効果が低下する。防除効果は散布方法と散布タイミングによって決まるといっても過言ではない。本種は、粗皮間隙、へタの下や葉と重なった果実の表面など薬液が付着しにくい部分に多く寄生するので、十分な薬量を鉄砲ノズル等の高圧散布が可能な器材で手散布するのが望ましい。スピードスプレーヤーによる散布では防除効果があがりにくい。現在使用されている薬剤は若齢幼虫には効果が高いものの卵塊および老齢幼虫以降には効果が劣るので、卵塊のふ化を確認し、約10日間隔で2回散布する。また、越冬幼虫は、水圧式粗皮剥ぎ機等で相皮剥ぎを行うことにより密度が低下する。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 水圧式粗皮剥ぎ機等で冬期に粗皮剥ぎを行う。
 (2) 誘引バンドで虫を集め、バンドごと焼き捨てる。

3.写真 


成虫

被害果(スス果)

被害果(火ぶくれ症)