枝膨病  Diaporthe sp.

1.生態と防除のねらい

 病原菌は結果母枝や巻ひげなどで越冬する。典型的な雨媒伝染性の病害で、主要な感染時期は5月上旬〜7月下旬であり、柄胞子は雨水とともに少なくとも7mは飛散し、無傷の緑色の新梢部から容易に感染する。本病の典型的な病徴である新梢の黒色病斑は、柄胞子の濃厚感染時に認められ、樹勢の弱い新梢は当年で枯死する。また、低濃度の柄胞子でも感染は成立し、菌は新梢の登熱直後より皮層下を進展して節部の射出髄に到達後、2〜3年後に節部肥大症状を引き起こす。病原菌の生育適温は25〜27.5℃で、5月〜8月に降雨が多いと多発する。欧州系の品種及び巨峰群品種は罹病性であることから、これらの品種を本病の発生地域で栽培するには被覆栽培が望ましい。
 防除対策としては、被覆栽培に切り替えることが最も望ましいが、地形の関係などで被覆栽培が不可能な地域では、罹病枝や巻ひげをせん定時にできるだけ除去し、4月下旬から定期的に薬剤防除を行う必要がある。
 

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 被覆栽培を行う。
 (2) 罹病苗を持込まないようにし、出来れば雨よけで苗木を栽培する。
 (3) 罹病枝、枯枝、巻ひげは焼却又は埋没する。
 (4) 通風採光をはかり、園内が多湿にならないようにする。

3.写真 


新梢の病斑

旧枝の節膨症状