晩腐病  Glomerella cingulata

1.生態と防除のねらい

 病原菌は結果母枝や巻びげなどで菌糸の状態で越冬する。分生胞子の形成は6月〜7月の梅雨期が最も多く、胞子は降雨によって飛散し、新梢や果房に感染する。新梢では病徴は現れずに潜伏感染する。果実では幼果期に小黒点病斑を生じる場合と無病徴感染する場合があり、小黒点病斑にっいては着色期まで病斑の拡大は見られない。無病徴感染の果実は収穫期近くになって発病し、二次感染源となる。熟果では感染3〜4日後には腐敗型病斑を形成し、鮭肉色で粘質の分生胞子塊を生じる。また、開花前の花蕾に発病した本病も感染源として重要とされている。
 防除対策としては、被覆栽培に切り替えることが最も有効であるが、被覆栽培が不可能な園では、袋かけを早めに実施し、罹病果をできるだけ取り除くことが重要である。薬剤防除は、落花直後と小豆粒大期にべと病や枝膨病との同時防除を兼ねて実施する。なお、露地栽培では薬剤防除の効果が上がりにくいので、袋かけを早めに行うなどの耕種的防除を併用し、発病を抑制することが重要である。また、本病の多発園では収穫を早めに実施する。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 被覆栽培を行う。
 (2) 極力6月中旬までに袋かけを完了する。また、降雨中や果房が濡れている状態の時は絶対に袋かけをしない。
 (3) 罹病果は見つけ次第取り除く。
 (4) 排水や通風採光をはかり、園内が多湿にならないようにする。
 (5) 巻ひげは焼却または埋没する。

3.写真