根頭がんしゅ病  Agrobacterium vitis

1.生態と防除のねらい

 元来、凍害が引き金となって発生する病害であるが、近年、福岡県で確認された本病は、発芽誘発が目的の芽傷にがんしゅを形成するタイプである。病原細菌は汚染土壌から根の傷を通して感染し、維管束を適ってかなり上部まで移行する。保菌穂木から育成した苗木によって発生地域が拡大し、罹病樹が持ち込まれた圃場では土壌伝染により、土壌が汚染される。本細菌を保繭していても芽傷作業を中止すれば発病しないので、保菌樹は直ちに芽傷作業を中止する必要がある。なお、本病に対する有効な薬剤防除法はなく、また芽傷部に発生するがんしゅの新梢伸長及び肥大への影響は、現在までのところ不明である。
 ナシ、モモ、バラなどに発生する根頭がんしゅ病(病原菌:Agrobacterium tum-efaciens)に効果が認められているA.radiobacter K84による生物防除は効果がない。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 採穂用の母樹は病原細菌に汚染されていない樹を選定する。
 (2) 罹病苗木を持ち込まないようにする。
 (3) 保菌樹に対しては芽傷作業を行わない。
 (4) 発病園から園外へ穂木や土壌の移動を行わないようにする。

3.写真 


芽傷跡に発生した状況