黒斑病  Alternaria kikuchiana Japanese pear pathotype

1.生態と防除のねらい

 発病は品種間差が大きく、二十世紀がもっとも弱く、新水も発病が多い。なおゴールド二十世紀は発病しにくい。
 越冬伝染源は、発育枝や短果枝上の病斑、ぼけ芽などが主体をなし、病斑上には4月から胞子ができ、風雨により飛散する。枝葉の感染発病は、若い組織だけであるが、果実は幼果から熟果まで感染発病する。病原菌の発育適温は25〜28℃でまた高温多湿の梅雨期に伝染が著しいが、袋かけ前が小雨高温多照の気象条件の場合でも防除を怠ると、多発病することがある。
 新梢葉上にできた病斑は、二次伝染源として多量の胞子を形成する。
 葉の発病と果実の発病とは、必ずしも相関がなく、葉の発病が少なくても果実に多発することがある。
 果実を対象とした薬剤防除は、開花期〜梅雨期に重点をおき、特に小袋かけ前と梅雨期の防除を徹底する。なお、同一薬剤の連用散布は耐性菌の出現を防ぐため避け、効果の劣る場合は他の薬剤を使用する。また、最近はSSによる防除が一般的であるが、散布量および付着量が不足気味なので、SS防除を前提に樹形改造や栽培管理を行う。
 不時落葉や窒素質肥料の遅効き、整枝、剪定に十分注意し、二次伸長の誘発を防ぐ。枝梢の伸長は、7月上旬で止めるよう管理する。また、多発園では、発芽前の散布を行い、開花前の防除を徹底して病原菌の密度低下を図る。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 罹病苗を持込まないようにする。
 (2) 密植園は間伐を行い園の排水、通風及び採光を図る。
 (3) 枝梢の遅伸びや二次伸長をしない栽培管理をする。
 (4) 冬季罹病枝梢及び罹病芽を剪除する。
 (5) 袋かけを早期に行う。
 (6) 被覆栽培園では換気を十分に行い、湿度を下げる。

3.写真 


葉の病斑

果実の病斑

発病による裂果状況