輪紋病  Botryosphaeria berengeriana de Notaris f.sp.piricola

1.生態と防除のねらい

 新水、幸水、豊水、菊水、新興、新高、長十郎などに多く発病し、特に無袋の幸水、豊水に被害が大きい。ほ場における発病初期は8月中旬以後で発病盛期は9月中旬頃である。病原菌は柄胞子と子のう胞子で伝染し、主に枝のいぼ内に形成された柄子穀内で越年する。柄胞子の溢出期間は2月下旬から10月下旬の間であるが、溢出量の多いのは5月下旬から8月上旬である。病原菌の発育適温は20〜30℃で27℃が最適温度である。また湿度95%以上で胞子溢出が多く、発病が多くなる。果実の感染は5月から7月に多く、枝の感染は4月中旬から8月下旬に皮目感染する。また時期に関係なく傷感染もおこる。
 本病は、薬剤のみでは防除効果が不十分であるので冬季のイボの削り取り、罹病枝の剪除焼却等の耕種的防除を徹底することが大切である。耕種的防除の実施に当たっては、狭い一ほ場だけでは効果が上がりにくいので、広範に行う必要がある。
 薬剤防除は6〜7月の梅雨期を中心に行うが、イボからの胞子の飛散を防ぐため枝にもよくかかるよう散布する。発病の多い園では有袋栽培を行う。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 罹病苗を持込まないようにする。
 (2) 冬季罹病枝を剪除又は病患部を削り取り、焼却又は埋没する。
 (3) 袋かけは早目に行う。
 (4) 樹の保健に努める。
 (5) 排水不良園は排水をよくする。
 (6) 防風垣を整備する。

3.写真 


枝の病斑

新梢の病斑

果実の病斑