胴枯病  Phomopsis fukushii

1.生態と防除のねらい

 生態及び防除法については、不明な点が多いが、枝幹の組織内に病原菌が侵入し、皮層部や木部にまで達して、徐々に病斑を拡大し、樹を衰弱させて、最後には枯死させる。
 病原菌は、一般的には病原力の弱い、傷(痍)寄生菌であり、傷口がないと侵入できない。剪定の切口や枯死は、寄生菌の侵入口となる。生育健全な樹には発病が少ない。病勢の進展時期は春と秋の2回である。二十世紀、新水、幸水、長十郎、豊水等に発病が多く、特に幸水に多発する。
 防除にあたっては、薬剤散布だけでは樹体内の病原菌の発育を抑えることができないので耕種的防除と併せて、総合的な防除法をとる必要がある。肥培管理の面からは、樹勢の維持増強が必要であり、樹を衰弱させないように選定、施肥、結果量等の適正化に努める。病患部を削り取った傷口や剪定切口には塗布剤を塗布する。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 肥培管理を適正にし、樹勢の健全化に努める。
 (2) 排水および通風をよくする。
 (3) 虫害・凍害・日焼けなどによって枝幹を傷つけないようにする。
 (4) 罹病しやすい幸水、豊水の剪定は、2月下旬以降に行う。
 (5) 被害枝は剪除または病患部を完全に削り取り焼却又は埋没する。

3.写真 


枝幹の病状