ナシヒメシンクイ 

1.生態と防除のねらい

 これまで少発生が続き、ほとんど被害を認めなかったが、近年、漸増傾向にある。
 年5回発生し、粗皮の隙間や放置されたナシ袋の隙間などで幼虫越冬する。5〜6月の第1〜第2世代幼虫は主としてモモ、ウメ、スモモ、サクラなどの新梢に食入し、ナシでの被害は比較的少ない。しかし、7月以降になると、第2〜第3世代成虫がナシ果実に産卵し、幼虫が主として果頂部から果実内に食入し加害するので、この時期の防除が最も重要である。
 防除対策としては、ナシへの成虫飛来数を減少させるため、粗皮削りによる越冬幼虫密度の低下やモモなどの食入新梢の処分を図る。薬剤防除は7月中旬〜8月の第3〜第4世代幼虫期に、7〜10日間隔で2〜3回散布する。なお、9月以降も発生するので、晩生種では9月上旬頃の防除が必要である。
 生理活性物質を利用した防除法として、交信撹乱剤コンフューザーPが利用できる。これはナシヒメシンクイの他にモモシンクイガ、ハマキムシ類、モモハモグリガ対象の合成フェロモンを混合したもので、合成フェロモンにに雄を定位させることによって、野外の雌成虫との交尾を阻害し、産卵防止をねらいとするものである。

2.防除法

○耕種的防除
 (1) こもや荒なわなどによるバンド誘殺(8月下旬〜9月上旬)、粗皮削り、放置袋の焼却処分を行い、越冬幼虫の密度抑制を図る。
 (2) 増殖源対策として、園の周囲のモモ、ウメなども防除する。
 (3) 袋かけを行うと被害が軽減できる。
○ 性フェロモンによる防除
 (1) 10a当たり150〜180本を均一に取り付ける
 (2) 傾斜地ほ場や小面積ほ場では効果が低下しやすい。

3.写真 


被害果