炭疽病  Gloeosporium laeticolor

1.生態と防除のねらい

 病原菌は罹病枝上で越冬し、春先より病斑上に形成される病原菌の分生胞子が雨滴に混ざって果実に伝染する。罹病枝の中で多感染した枝は冬期に枯死するが、感染が軽い場合は開花期前後に枯死するまで生き残り、重要な伝染源となる。病原菌は2種類報告されており、Gloeosporium laeticolor による炭疽病は幼果の頃から発生し、病果はミイラ化してその後の主要な伝染源となる。収穫前に降雨が続く年は成熟果にも伝染し、惨害を与える。病斑上に形成されるピンク色の粘塊は分生胞子の集まりで、雨水に会うと付近の果実に次々と伝染する。病果のある枝は葉巻し、新梢の生育も著しく不良となる。もう一方の Glomerella cingulata による炭疽病は,樹上では病斑を形成せず、収穫後の完熟果になって病斑を現す。両病原菌による炭疽病は、いずれも有袋栽培では比較的被害は少ないが、袋かけが遅れた場合は壊滅的被害を被ることがある。 
 密植を避け園内の通風採光をよくするとともに、罹病枝の剪除に努め伝染源をできる限り少なくする。感染期の薬剤防除を徹底し、早期に袋かけを行う。樹上での発病果は見つけ次第除去し、焼却または埋没する。

2.防除法(耕種的防除) 

 (1) 袋かけは早めに行う。
 (2) 被害果は直ちに摘除し,除去焼却する。
 (3) 葉巻やミイラ果の認められる枝や開花期の枯死枝の除去を行う。
 (4) 園内の通風をはかり,多湿にならないように努める。

3.写真 

果実の病斑