灰星病   Monilinia fructicola

1.生態と防除のねらい

 果実、花、枝などに発生するが、成熟果での発生が最も多い。腐敗部に灰褐色の粉状を帯びた分生胞子塊を多数形成するのが特徴で、腐敗が全果におよぶと樹上に残ってミイラ状なり、また果梗から枝に転移して枝枯れを生じることもある。まれに花も侵され、花梗から結果枝に病斑が広がり、病斑付近からヤニを分泌する。
 病原菌の越冬は、前年地表面に落下した被害果上に形成された菌核および菌糸である。前年被害果上の越冬菌核から子のう盤を生じ、第一次伝染源となる。また枝の病斑や枯死枝では分生胞子を形成して伝染源となる。果実の被害が最も問題となり、熟果で発生しやすく収穫直前に降雨が多いと多発する。
 地表面に落下した罹病果や樹上で発病した果実は重要な伝染源となるので、園外に持ち出し、除去焼却する。本病による枝枯れの発生が認められる枝や、ミイラ果が認められる枝には病斑を形成しているので冬期剪定時に除去する。薬剤防除は収穫20日前くらいから予防散布を行う。

2.防除法(耕種的防除) 

 (1) 罹病枝や罹病果は直ちに摘除し,除去焼却する。
 (2) 周辺に植栽された核果類(モモ,サクラなど)の罹病果や罹病枝も除去焼却する。
 (3) 園内の通風をはかり,多湿にならないように努める。