果実軟腐病  Botryosphaeria sp.,Phomopsis sp.

1.生態と防除のねらい

 主に収穫後の追熟果実に発生する病害で、感染が激しい場合は樹上果にも発生する。
発病すると果実が部分的に軟化し、表皮を剥ぐと黄緑色の円形病斑が認められるのが特徴である。病原菌として Botryosphaeria属菌とPhomopsis属菌の2種類が関与している。ただ、病徴から両者を明確に区別することは困難である。罹病果からは主に前者が優勢に分離される。両病原菌の生態についての詳細は不明であるが、樹上の枯れ枝や結果母枝に形成された柄子殻に作られた柄胞子や園内のせん定枝に形成された子のう殻で作られた子のう胞子が、降雨や風などによって飛散伝播しているものと考えられる。病原菌は感染後、果皮中に菌糸の状態で潜伏し、追熟により果肉が柔らかくなってから発病する。病原菌の中でBotryosphaeria属菌による果実への感染は6〜7月の梅雨期を中心に無傷で、 Phomopsis属菌による感染は9〜10月の秋雨期に果梗部や果実の付傷部から起こる。追熟時の温度が15℃より高くなると発病が急増することから、追熟は低温15℃以下で行う必要がある。
 薬剤防除は6〜7月の梅雨期及び9〜10月の秋雨期を中心に行う。

2.防除法(耕種的防除)

 (1) 6月上〜中旬より袋かけを行う。
 (2) 樹上の枯れ枝や巻つる及び剪定枝は,除去焼却する。
 (3) 整枝,剪定を改善し,枝葉の過繁茂を避け,通風採光をよくする。
 (4) 収穫果実を追熟温度15℃,エチレン濃度50ppmで24時間処理することで,発病を大幅に軽減できる。

3.写真