モザイク病  
Cucumber Mozaic Virus(CMV)
Tobacco Mozaic Virus(TMV)

1.生  態

 モザイクを生じるウイルス病には、キュウリモザイクウイルス(CMV)とタバコモザイクウイルス(TMV)によるものがある。
 CMVによるものは、生長点に近い2〜3枚の葉に明瞭なモザイクまたは黄斑モザイク様の病徴を生じる。ただし、下位葉になるほど病徴は不鮮明となり、株の萎縮はあまりみられない。果実の病徴は、果面が硬く、でこぼこ状を呈したり、果実を切断すると果肉の一部が褐色に変色している場合がある。なお、このような症状を呈するCMVには、いくつかの系統があり、モザイクを起こすCMVは普通系、果実褐変を起こすCMVはマメ科、アブラナ科系統とされている。
 TMVによるものは、新葉がやや黄化し、軽いモザイク症状を呈する。成葉には大小の円形〜不正形の暗緑色斑紋を生じるが、株の萎縮は認められない。
 いずれのウイルスも宿主範囲は極めて広く、CMVはウリ科、ナス科、アブラナ科、キク科、ユリ科等45科190種以上、TMVはナス科、マメ科、キク科等22科200種以上の植物に寄生する。
 CMVは、おもにアブラムシ類によって媒介されるため、アブラムシ類の発生が多い4〜11月頃に発生するが、芽かき等の管理作業によって発病株から汁液で伝染する場合もある。TMVは接触伝染が主体であり、土壌伝染、種子伝染も行う。

2.防除のねらい

(1) CMVはモモアカアブラムシ、ワタアブラムシなどのアブラムシ類によって非 永続伝搬されるので、アブラムシ類の防除を徹底する。また、ウイルスは冬期間 は越冬野菜類や圃場周辺の宿主雑草などで越年しているので、これらの作物の処 分あるいは除草が大切である。
(2) CMVによる第一次の伝染は、圃場周辺の罹病植物で保毒した有翅アブラムシ の飛来、吸汁によって起こるので、圃場周辺の除草を行うとともに、シルバーポ リ、ムシコンなどによるマルチ栽培を行ってアブラムシの飛来を抑える。
(3) TMVは汁液による接触伝染が著しいので、発病株の早期確認が重要であり、 発病株の早期除去とともに、芽かき、誘引、収穫等の際に発病株に触れないよう な管理作業を行うことが大切である。また、本ウイルスは土壌伝染するので、発 病圃場では連作を避けるか、土壌消毒を実施する。

3.防 除 法

○ 耕種的防除
(1) 発病株はできるだけ速やかに除去焼却する。
(2) 圃場周辺の宿主(保毒)植物を除去する。
(3) CMVに対してはシルバーポリ、ムシコン等によるマルチ栽培を行う。
(4) TMVでは連作を避け、種子の乾熱殺菌を行う。(種子消毒の項参照)
(5) 芽かき、誘引、収穫等の際は、できるだけ発病株に触れないようにする。また、 発病の恐れがある株の管理は、最後に行う。
○ 薬剤防除
(1) アブラムシの防除を徹底する。(CMV)     ナスのアブラムシの項参照
(2) 土壌消毒を行う。(TMV)
   発病圃場は臭化メチルくん蒸剤で土壌消毒する。(土壌消毒の項参照)