萎凋病  Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici
根腐萎凋病   F.oxysporum f.sp.raddicis-lycopersici

1.生  態

 病原菌は土壌中で厚膜胞子を生じて長期間生存し、発芽して根の先端や傷口から侵入し、導管部を侵す。また種子伝染も行う。
 病原菌には品種によって病原性が異なるレースがある。萎凋病(J1、J2)は地温28℃が適温で、露地、施設栽培とも高温期に多発する。従来のJ3は根腐萎凋病と呼称変更され、10〜20℃が発病適温で、低温期の作型に主に発生するが、最近、露地栽培での発生の報告もある。
また、感受性品種の場合は、施設栽培の多湿条件下では果実の柱頭部から菌が侵入し、果頂部から果実を腐敗させる症状も発生する。
 定植、土寄せなどによる根の損傷やセンチュウの加害によって発病が助長される。
根腐萎凋病の抵抗性品種としては瑞健があるがハウス桃太郎、桃太郎、桃太郎8、サンチェリーエキストラ、ミニキャロルは、いずれも抵抗性を有さない。

2.防除のねらい

(1) 健全土壌に無病苗を植えることが重要で、床土の更新や消毒、本圃の土壌消毒や輪作を実施することが大切である。
(2) 土壌の過湿、過乾燥あるいは土壌水分の急激な変化は被害を著しくするので土壌湿度を適正に保つ。

3.防 除 法

 ○耕種的防除
(1) 抵抗性品種を栽培する。
(トマト、ナスの主要品種の病害虫抵抗性の項参照)
(2) 種子は乾熱殺菌を行う。ただし、乾熱殺菌を行った場合は薬剤による種子消毒 は行わない。
(3) 健全な床土で育苗し、無病土に栽培する。
(4) 連作を避ける。
(5) 発病圃場は4年程度水田化する。
(6) 抵抗性台木に接木する。