炭疽病
  Glomerella cingulata ・ Colletotrichum actatum

1.生 態

Glomerella cingulata による炭疽病】
 本病菌の発育適温は28℃である。潜在感染した親株や被害株の残渣で越年し、平均気温が20℃以上に達する時期に子苗に感染、発病するものと思われる。葉柄やランナーに黒色のやや陥没した円形病斑を形成し、多発すると葉身に汚斑状の黒色病斑を生じる。多湿時に、葉柄やランナーの病斑上に鮭肉色の胞子塊を形成し、雨滴あるいは灌水等によって周辺株へ伝染する。このため、梅雨期以降の高温多湿条件下で著しく蔓延する。
また、高温期には株が急激に萎凋・枯死する。萎凋株のクラウン部を切断すると茶褐色の病斑が内部に向かって進行しており、萎黄病や青枯病と容易に区別できる。本圃では主に罹病苗の持ち込みにより発生し、定植後から12月までの間と3月以降のハウス内の温度が上昇する時期に萎凋、枯死株が認められる。
Colletotrichum actatum による炭疽病】
 本病菌の発育気温は25〜26℃である。葉、葉柄、ランナーおよび果実に病斑を形成する。葉身には汚斑状の斑点を形成せず、はじめ新葉の葉緑に、赤いハローを伴う黒い不整形の病斑を形成し、病徴が進展すると葉が縮れて破れやすくなる。著しい葉枯れ症状を示すので葉枯れ炭疽の別名を持つ。G.cingulata による炭疽病と異なり株の萎凋は認められない。
伝染環はG.cingurata による炭疽病とほぼ同じであり、潜在感染した親株や被害株の残渣が第一次感染源と考えられる。多湿時に、葉柄やランナーの病斑上に鮭肉色の胞子塊を形成し、雨滴あるいは灌水等によって周辺株へ感染する。

2.防除のねらい

(1) 専用親株床を設置し、健全親株、健全苗を育成する。
(2) 一旦感染すると防除が困難であるので、親株床のランナー発生期から予防的に 防除を行うことが重要である。特に雨前、雨後散布により防除を徹底する。

3.防 除 法

 ○耕種的防除
(1) 専用親株床を設置し、健全な親株、健全苗を育成する。
(2) 発病が認められた圃場およびその周辺に育苗床を設置しない。
(3) できるだけ梅雨前に採苗する。
(4) 発病株をすみやかに除去し、焼却するか、ビニル完全に包み込み、病原菌の周辺への飛散を防止する。
(5) 窒素肥料の過用を避ける。
(6) 圃場の排水を図り、多湿にならないようにする。

4.写真