■促成栽培トマトにおける総合的病害虫管理マニュアル


促成栽培トマトにおける総合的病害虫管理マニュアル


技術資料 2001/10/10

福岡県農業総合試験場野菜花き病害虫研究室

天敵利用の概要/使用する天敵/天敵の利用法/その他の害虫対策/病害対策
殺虫剤一覧表(PDF)/フローチャート(PDF)/天敵利用歴(PDF)

■天敵利用の概要

  • 害虫オンシツコナジラミ → 天敵(オンシツツヤコバチ)
  • マメハモグリバエ    → 天敵(ハモグリミドリヒメコバチ
                    またはイサエアヒメコバチ)
  • それら以外の害虫    → 薬剤(天敵に影響の少ないもの)
  • 病害は、殺菌剤が基本的に天敵に影響が少ないため従来通り使用できる。

■使用する天敵

(1)オンシツツヤコバチ
 コナジラミ類の幼虫のみに産卵・寄生する微少な寄生蜂。これは、天敵資材として販売されている。形状は、マミー(蛹)カードと呼ばれ、厚紙の中央部分に50〜60個体程度の天敵蛹が貼り付けてある。天敵の放飼は、このカードを葉柄などに取り付ける作業となる。

オンシツツヤコバチ成虫
オンシツツヤコバチ成虫
マミーカード
マミーカード

(2)ハモグリミドリヒメコバチまたはイサエアヒメコバチ
 潜孔内のハモグリバエ類の幼虫に産卵・寄生する体長1mm前後の寄生蜂。数種類の寄生蜂が、天敵資材として販売されている。形状は、生きた天敵成虫がプラスチックボトルに入っている。このため、手元に到着後すみやかに圃場に放飼する。(ハモグリミドリヒメコバチは未登録)

イサエアヒメコバチ成虫
イサエアヒメコバチ成虫
販売製品ボトル
販売製品ボトル

■天敵の利用法

(1)コナジラミ類
  基準放飼量;1回にマミーカード40〜50カード/1000u
  放飼時期および回数;定植後と年明けの2回

   1回目;定植1週間後から4週連続
       ポイント;苗がまだ小さく、コナジラミの発生も均一と考えら
            れるため、圃場全体にカードを取り付ける。
       放飼後の対応;11〜12月にコナジラミ類が一時的に増加す
              る場合がある。そのときは、天敵に影響の少な
              いチェス水和剤を1〜2回全面散布する。

   2回目;年明けの2月中旬から4週連続。
       ポイント;・早すぎたり、遅すぎたりした場合は効果が見られ
             ない場合があるので、時機を逸しないようにする。
            ・既に発生が見られている場合は、発生している場
             所を中心に取り付ける。
            ・天敵が寄生できる幼虫は、トマト株の中段以下に
             多いため、カードはその辺りに取り付ける。
       放飼後の対応;コナジラミが増加した場合は、3月下旬〜5月
              上旬であればチェス水和剤、5月下旬以降であ
              れば、収穫終了時も近いため、トマトサビダニ
              防除をかねてサンマイトフロアブルを散布。

天敵の活動状況は、葉裏のオンシツツヤコバチ蛹の色で判断する。

トマト葉裏のコナジラミ幼虫と蛹
トマト葉裏のコナジラミ幼虫と蛹
寄生されていないコナジラミ蛹(白〜乳白色)
寄生されていないコナジラミ蛹
(白〜乳白色)
天敵に寄生されたコナジラミ蛹(黒色)
天敵に寄生されたコナジラミ蛹(黒色)


(2)ハモグリバエ類
  基準放飼量;1回にハモグリミドリヒメコバチまたはイサエアヒメコバチ
        の成虫100〜200頭/1000u
  天敵放飼時期および回数;基本的には定植1週間後からの3週(回)連続。
     この天敵も、オンシツツヤコバチと同様に、基本的には定植後と春
    先の2回の時期に放飼するが、冬場にハモグリバエ類の発生がほとん
    どない場合は、春先の発生時期が遅れるため、2回目の放飼は必要な
    いと思われる。

 (時期別のハモグリバエ発生に対する対応策)
  定植前で天敵放飼1週間前まで → アファーム乳剤、トリガード液剤
  天敵放飼後          → カスケード乳剤(天敵に影響少ない)

  天敵の活動状況は、コナジラミと同様に、潜孔内のハモグリバエ幼虫の色
 で判断する。ハモグリバエ2〜3齢幼虫は主に黄色であるが、天敵の寄生な
 ど受けると全体的に茶褐色〜黒色となる。

潜孔内のマメハモグリバエ幼虫
潜孔内のマメハモグリバエ幼虫
天敵に寄生され黒変した幼虫
天敵に寄生され黒変した幼虫

■その他の害虫対策

(1)ハスモンヨトウ、オオタバコガ
  • これらは夜蛾(ヤガ)類に属し、成虫の活動は夜間のみで飛翔や産卵などを
    行う。このため、ハウスの開口部分(入口やサイドなど)に張った成虫が
    通ることができない目合(5mm以下)の防虫ネットを夜間だけ閉めることに
    より、成虫の飛び込みを完全に防止することができる。
  • 幼虫は、薬剤散布により対応する。
  • 薬剤は、天敵に影響の少ないBT剤が主となる。
(2)アブラムシ類
  • スポット的に発生する。
  • 発生箇所数が少ない場合 → DDVP乳剤のスポット散布
      〃   多い場合  → チェス水和剤の全面散布
(3)トマトサビダニ
  • 天敵に影響の少ない殺虫剤の散布を継続すると、発生が増加する。
  • スポット的に発生し、激発した場合は生育抑制や果実への被害となる。
  • 発生時期は、定植後〜12月と3月〜収穫終了。特に、定植数週間後に
    発生が増加し始めた場合は、天敵利用の中止にも繋がるため、予防散布や
    発生株を見つけた場合は直ちにスポット散布を行う。
  • 薬剤散布で対応
       天敵導入1週間前まで → アファーム乳剤
       果実の収穫開始前まで → イオウフロアブル
       それ以外の時期    → マッチ乳剤
        但し、発生株が少なくスポット散布を行う場合 → ケルセン乳剤

トマトサビダニ
トマトサビダニ
トマトサビダニによる被害
トマトサビダニによる被害

■病害対策

 殺菌剤のほとんどが天敵に影響が少ないため、従来通り。(薬剤の一覧表


このマニュアルは、福岡県農業総合試験場の病害虫部野菜花き病害虫研究室で作成されたものです。
マニュアルに関するお問い合わせは、こちらまで

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