侵入警戒を要する特殊病害虫(アリモドキゾウムシ・イモゾウムシ)
1 特殊病害虫(アリモドキゾウムシ・イモゾウムシ)とは?
ヒルガオ科イポメア属(サツマイモ,グンバイヒルガオ,ノアサガオ等)に寄生する熱帯地域由来の昆虫です。
加害されたサツマイモは,悪臭を発するとともに,食すると苦みが生じ,食用はもちろん,でん粉原料用,加工用ひいては家畜の餌としても利用できなくなるなど,世界的なサツマイモの重要害虫となっています。
図@
アリモドキゾウムシ(体長約7mm)
イモゾウムシ(体長約3〜4mm)
幼虫によるサツマイモの食害状況 |
図A主な寄主植物
ノアサガオ グンバイヒルガオ | ||
2 特殊病害虫(アリモドキゾウムシ・イモゾウムシ)が侵入すると・・・・?
現在アリモドキゾウムシはトカラ列島の口之島以南,イモゾウムシは奄美大島以南の地域に分布しています。
これらの地域からは餌となる植物(サツマイモ,アサガオ・ヒルガオ類)を発生地域外へ持ち込むことは,法律により禁止(罰則:三年以下の懲役又は百万円以下の罰金)されています。)
これらの発生地域以外で発生が確認されると,
@サツマイモの栽培(家庭菜園等も含む)が全くできなくなります。 |
A現在植えてあるサツマイモはすべて除去(薬剤散布・焼却・廃棄処分等)しなくてはなりません。 |
B観賞用のアサガオ・ヒルガオ等も植えられません。(植えてあるものも全て除去) |
このようなことが,アリモドキゾウムシ・イモゾウムシの根絶が確認されるまで規制されます。
最近では,屋久島でイモゾウムシの発生が確認され平成16年5月まで根絶への取り組みがなされました。根絶には長い時間
と膨大な費用,なによりも甚大な経済的損失が生じます。
3 特殊病害虫の侵入を防ぐにはどうすればいいの?
アリモドキゾウムシやイモゾウムシは自力では海を越えての長距離移動はできません。(長距離飛行能力がない)
近年,物流の利便性が高まり,毎日膨大な量の物資が日本各地・世界各地を流れています。
侵入を考える上で,
@郵便小包・宅急便 |
A航空機・船舶による旅行者の手荷物での持ち込み |
この2点が,現在最も侵入要因として考えられています。これらを行わないことで大部分のアリモドキゾウムシ・イモゾウムシの未発生地区への侵入を防ぐことができると思われます。
その為,発生地域(トカラ列島の口之島以南)からの「さつまいも」「アサガオ」「ヒルガオ」の持ち込みは絶対に行わないでください。(法律で決められています。(罰則:三年以下の懲役又は百万円以下の罰金))
アリモドキゾウムシ・イモゾウムシの侵入防止対策
1.産地の守り (1)発生地域からの甘しょ等の持ち 込みの阻止。 (2)地域や市町村ぐるみでの防衛 意識。 (3)病害虫に対する知識と関心。 (4)定期的な侵入警戒調査。 2.移動を抑える (1)移動禁止広報の徹底強化。 (2)物流経路のチェック体制の 強化。 (3)周知率の向上と重大性の 認知。
3.移動源の減少 (1)発生地域における甘しょの 被害率低下対策。 (2)被害いもの市場流通を減少 させる。 (3)農家・流通関係者の意識 啓発