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                                          平成14年10月30日
 
 各関係機関の長
 各病害虫防除員 殿

                                         宮崎県病害虫防除所長
                               
 
                   病害虫防除速報第4号
 
1.病害虫名   ハモグリバエ類(マメハモグリバエ、トマトハモグリバエ)
2.作物名    施設野菜(トマト、キュウリ、メロン等)
3.発生程度   やや多い
4.発生状況と発令の根拠
 1)冬春トマトの10月中旬における発生面積率は、70.0%(過去8カ年平均48.1%)で
  やや多い。
 2)県内巡回調査における、10月中旬の露地キュウリではハモグリバエ類の発生面積率
  は100%であり、今後の施設栽培への侵入が懸念される。
 3)本虫は高温乾燥条件で発生が多いが、向こう一ヶ月の予報では晴天が多く、降水量、
  日照時間は平年並と予想されている。
5.防除対策
 1)摂食・産卵痕に注意し、本虫の寄生を受けた苗を持ち込まないようにする。
 2)早期発見に努め、初期の寄生葉の除去と初期防除を徹底する。
 3)発生源となる露地野菜の残さの処理や周辺雑草の除草を徹底する。
 4)施設内に黄色の粘着板やリボン等をつるして成虫を捕殺する。
 5)防除には登録のある薬剤を使用する。(表1)
 6)現状では、キュウリ等ウリ科野菜のマメハモグリバエに登録適用のある薬剤はない
  ので、上記耕種的・物理的防除対策を徹底する。
6.参考
  トマトハモグリバエについては、マメハモグリバエではあまり問題にならなかったウリ科
 作物や、キク科やアブラナ科の葉菜類をも加害し(徳丸ら、2001)、ウリ科の他、合計6科
 38種で発生が報告されている(徳丸、2002)。(表2)
  また、マメハモグリバエからトマトハモグリバエへと優占種が移行した例(徳丸ら、2001)
 もあるので、本県においても今後注意が必要である。  
7.引用文献
  徳丸 晋、阿部 芳久(2001)新害虫トマトハモグリバエの京都における発生生態. 植物防疫55:64〜66
  徳丸 晋(2002)トマトハモグリバエの発生生態と防除対策.今月の農業 46  (10):13〜17


表1 トマトのマメハモグリバエ登録農薬一覧


製 品 名
 


使用濃度・量
 







使用
回数
(以内)

使用時期
収穫
 前日数


注意事項
 

カスケード乳剤
      
2,000〜4,000


  
 4

 前 日

蚕毒有。ミツバチ(幼)注意。

オルトラン水和剤

   1,000



 3

 前 日

蚕毒有。ミツバチに影響有。

アファーム乳剤

   2,000



 2

 前 日

蚕毒有。ミツバチに影響有。

トリガード液剤
 

   1,000
 


 


 

 2
 

 前 日
 


 
                           (注)平成14年度病害虫・雑草防除等指導指針を基に作成
 
 
表2 国内においてトマトハモグリバエの寄生を確認した植物

ウリ科

キュウリ、カボチャ、メロン、シロウリ、スイカ、ヘチマ、マクワウリ

マメ科
 

インゲンマメ、ソラマメ、アズキ、ダイズ、ササゲ、キマメ、ルピナス、ライマメ

ナス科

トマト、ナス、ジャガイモ、ピーマン、トウガラシ、ペチュニア

アブラナ科
 

ハクサイ、ダイコン、カブ、キャベツ、ブロッコリー、コマツナ、ミブナ、ミズナ

アオイ科

オクラ

キク科

 

ゴボウ、シュンギク、マリーゴールド、コギク、アスター、キンセンカ、ダリア、ヒャクニチソウ
 
 (注)徳丸 晋(2002)トマトハモグリバエの発生生態と防除対策.今月の農業 46(10):13〜17 を引用