平成11年度病害虫発生予察特殊報第1号
                            平成11年9月10日
                             宮  崎  県
   病害虫名:黄化えそ病
      作 物 名:ピーマン
      病  原:トマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus:TSWV)

 発生概況
  県西部の一部のほ場において、定植後の4月下旬頃から新葉が黄化する株が発生し、
 その後発生株は新葉の萎縮やモザイク、果実のえそ症状を示した。県総合農業試験場環
 境部で検定植物への接種試験及びエライザ法によるウイルス検定を行った結果、本病の
 病原ウイルスはTSWVと同定された。
    TSWVによる被害は、平成9年にキクえそ病の発生で初確認したが、果菜類での本
 ウイルスによる病害の発生は、本県では初めてである。

 病徴
   新葉の萎縮やモザイク、果実のえその他、葉・果実の輪紋、葉のえそ、茎のえそ、生
 長点の枯死が見られた。
 
 伝染
    ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、ダイズ
 ウスイロアザミウマ、ネギアザミウマなどのアザミウマ類によって媒介され、それらの
 1齢幼虫のみがウイルスを吸汁獲得し、羽化した成虫がウイルスを永続伝搬する。伝搬
 能力は24〜43日以上継続する。管理作業等による伝染の危険性もあるが、アザミウ
 マ類による虫媒伝搬が主である。経卵伝染、種子伝染、土壌伝染はしない。

 宿主植物
    ナス科、キク科、マメ科、ゴマ科、アカザ科等広範囲に及ぶ。

 主要作物での病徴
    トマト:葉に褐色のえそ斑点を生じ、葉先から黄化する。茎や葉柄に褐色えそ斑を生
     じ、茎の内部は空洞化し、萎凋枯死することもある。果実は表面に褐色えそ斑
     を生じこぶ状に盛り上がった奇形果となり、上段花房ほど脱落しやすくなる。
    キ ク:一般に葉に退緑斑を生じ、やがて葉は黄化、枯死する。枯死葉の付近の茎に
     えそ条斑が認められ、症状が進行すると髄部にまで病変が及ぶ。

  防除対策
    ・苗等の導入に当たっては、本病の感染およびアザミウマ類の寄生の有無に注意する。
    ・アザミウマによって媒介されるので、育苗期、生育期ともにアザミウマ類の防除に
  努める。
    ・シルバーマルチや施設開口部に防虫ネット(1oメッシュ以下)を設置し、成虫の
  侵入、飛来を防ぐ。
    ・TSWVに感染した株は早急に焼却処分する。
    ・栄養繁殖性作物の親株には、健全株を使用する。
    ・アザミウマ類は作物だけでなく、周辺雑草にも寄生するので、除草を徹底する。
    ・栽培終了後、蒸し込みを行う。