6331−123
                          平成12年12月18日

各関係機関長
各病害虫防除員 殿

                           宮崎県病害虫防除所長

   平成12年度病害虫発生予察特殊報第1号について
 平成12年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表したので送付します。
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平成12年度病害虫発生予察特殊報第1号

                          平成12年12月18日
                          宮崎県

 1 病害虫名:トマトハモグリバエ(Liriomyza sativae BLANCHARD)

 2 作 物 名:トマト

 3 発生概況
 平成12年6月に、宮崎市のトマト栽培圃場からハモグリバエ類幼虫の寄生葉を採取し、羽化した成虫の形態を観察したところ、トマトハモグリバエと疑われる個体を認めた。農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼した結果トマトハモグリバエであることが確認された。

 4 生態
 雌成虫は産卵管で葉に穴を開け、葉肉内に産卵する。孵化した幼虫は葉肉内を食害し不規則な線状潜孔を形成する。老熟幼虫は潜孔の末端より抜け出し、土中で蛹化する。潜孔および蛹化の方法はマメハモグリバエとよく似ており、また成虫の体の大きさ、体色もほぼ同じであるため、肉眼での識別は困難である。

 5 形態
 成虫:体長約1.3〜2.3o、翅長1.25o(♂)〜1.7o(♀)
 卵 :長径0.2〜0.3o、短径0.1〜0.15oの楕円形で、半透明のゼリー状
 幼虫:淡黄色のウジ状で、3齢幼虫の体長は約3o
蛹 :長さ1.3〜2.3o程度の俵状で、黄褐色を呈する。
 トマトハモグリバエ成虫の頭部の外頭頂剛毛(vte)着生部は黒色であり、マメハモグリバエ、ナスハモグリバエの同部の色彩は黄色である。(図参照)

 6 寄主植物 
 マメハモグリバエなどと同様に極めて多くの植物に寄生し、海外ではメロン、キュウリ、カボチャ、トマト、ジャガイモ、トウガラシ、インゲンなどの植物が好適寄主として挙げられている。国内においては以下の植物が寄主として確認されている。
【国内で寄主として確認された植物】
 ナス科:トマト、ペチュニア、テリミノイヌホオズキ
 ウリ科:カボチャ、キュウリ、シロウリ、ヘチマ
 キク科:マリーゴールド
 マメ科:インゲン

 7 防除対策
 本種を対象とした登録農薬はなく、またマメハモグリバエと混発していると考えられるため、マメハモグリバエとの同時防除を行う。耕種的防除についてもマメハモグリバエに準じて実施する。 

 8 引用文献
岩崎暁生ら:日本におけるトマトハモグリバエ(Liriomyza sativae BLANCHARD)の発生.2000年.植物防疫54(4):12〜17