6331−120
                                            平成13年12月12日
 
 各関係機関長
 各病害虫防除員 殿
 
                                            宮崎県病害虫防除所長
 
            平成13年度病害虫発生予察特殊報第1号について
 平成13年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表したので送付します。

           平成13年度病害虫発生予察特殊報第1号
 
                                              平成13年12月12日
                                              宮     崎    県
 
 1 病害虫名:トマト黄化葉巻病
 
 2 作 物 名:トマト
 
 3 病原ウイルス:トマト黄化葉巻ウイルス
          (Tomato yellow leaf curl virus:TYLCV)
 
 4 発生概況
  平成13年11月に県平野部の施設栽培トマトで、新葉が黄化、萎縮し頂部が叢生する症状が発生した。宮崎県総合農業試験場環境部及び独立行政法人農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センターに同定を依頼した結果、トマト黄化葉巻病と同定された。
 
 5 病徴
  発病初期は、新葉が葉縁から退緑しながら葉巻症状となり、後に葉脈間を残して黄化し縮葉となる。病勢が進行すると、頂部が叢生し株全体が萎縮する。特に、トマトの生育初期に感染すると激しく発病する。また、果実では、発病前に着果したものは正常に発育するが、発病後は開花しても不稔となることが多い。なお、ミニトマトやファースト系トマトでは被害が比較的軽い場合が多い。
 
 6 伝染方法
  本ウイルスは、主にシルバーリーフコナジラミによって伝染し、成虫または幼虫のいずれでも、感染株を吸汁することによって保毒し、約1日の潜伏期間を経た後、ウイルスを伝搬する能力を持つ。経卵伝染の可能性については、現在のところ日本での報告はないが、その可能性は指摘されている。なお、管理作業による汁液伝染、種子伝染、土壌伝染及びアブラムシ類による伝搬はない。
 
 7 TYLCVに感染する可能性のある植物
  ナス科:トマト、タバコ、チョウセンアサガオ、オオセンナリ、イヌホオズキ
  キク科:ノゲシ、ヒャクニチソウ
  マメ科:インゲン、ヒラマメ
  アオイ科:ウサギアオイ
  リンドウ科:トルコギキョウ
  トウダイグサ科:エノキグサ、ショウジョウソウ
  ナデシコ科:ウシハコベ
 
 8 防除対策
  1)育苗期からシルバーリーフコナジラミの防除を徹底する。
2)発病株は早期に抜き取り、埋没処分を行う。圃場周辺に感染株を絶対に放置しない。
  3)圃場周辺の雑草はシルバーリーフコナジラミの寄主植物となるので除草を徹底する。
  4)施設栽培では、施設開口部に寒冷紗(1.0mm以下)を張り、シルバーリーフコナジラミの侵入を防止する。
  5)施設栽培では、栽培終了時にハウスの蒸し込みを行い、トマトを枯死させて、シルバーリーフコナジラミを死滅させるとともに、施設外への分散を防ぐ。