6331−53
                                         平成15年8月4日
 
各関係機関長
各病害虫防除員 様
 
                                         宮崎県病害虫防除所長
 
  平成15年度病害虫発生予察特殊報報第1号について
平成15年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表したので送付します。
 

           平成15年度病害虫発生予察特殊報第1号
 
1 病害虫名:トルコギキョウ葉巻病(仮称)
 
2 作物名:トルコギキョウ
 
3 病原ウイルス:トマト黄化葉巻ウイルス
         (Tomato yellow leaf curl virus:TYLCV
 
4 発生概況
  平成15年7月上旬、宮崎市の雨よけ栽培のトルコギキョウ(品種:プラチナハイカラー レッド、エクセルスカーレット)に、株の萎縮巻葉を生じる症状が認められた。宮崎県総合農業試験場生物環境部による診断の結果、トルコギキョウ葉巻病(仮称)であることが同定され、本県での発生初めて確認された。既に本病原ウイルスによるトマト黄化葉巻病は、平成13年11月に発生を確認、特殊報を発表ている。
 
5 病徴
  発病部位より上は節間が縮み、萎縮する。葉は小型化し、葉脈が隆起し、表面を内側にして巻く。これらの症状により商品価値が著しく低下する。
 
6 伝染方法
  本ウイルスはトマト黄化葉巻病の病原ウイルスと同一であり、シルバーリーフコナジラミにより伝搬される。なお、作業管理による汁液伝染、種子伝染、土壌伝染およびアブラムシによる伝搬はない。
 
7 TYLCVに感染する可能性のある植物
  ナス科:トマト、タバコ、チョウセンアサガオ、オオセンナリ、イヌホウズキ
  ピーマン(無病徴感染)、ジャガイモ(無病徴感染)
  リンドウ科:トルコギキョウ
  マメ科:インゲン、ヒラマメ
  アオイ科:ウサギアオイ
  トウダイグサ科:エノキグサ、ショウジョウソウ
  ナデシコ科:ウシハコベ
 
8 防除対策
1)育苗期からシルバーリーフコナジラミの防除を徹底する。
2)発病株は二次伝染源となるため、見つけ次第に抜き取り、放置せずに埋没処分を行う。
3)施設開口部に防虫網、寒冷紗等を用いて、施設内へのシルバーリーフコナジラミの侵入を防止する。
4)ほ場周辺の雑草はシルバーリーフコナジラミの寄主植物およびTYLCVの伝染源になるため、除草を徹底する。
5)施設栽培では栽培終了後に蒸し込み等を行い、シルバーリーフコナジラミを死滅させ、施設外への分散を防ぐ。
6)本病は非常に蔓延する速度が速いことから、以上の対策は発生農家のみでなく、地域全体で実施することが重要である。
7)疑わしい症状がみられた場合は、最寄りの農業改良普及センター、または病害虫防除所に連絡する。