6331−30
                           平成13年5月28日
 各関係機関長
 各病害虫防除員  殿
                            宮崎県病害虫防除所長
       平成13年度病害虫発生予報第2号について
 平成13年度病害虫発生予報第2号を発表したので送付します。

  平成13年度病害虫発生予報第2号
 
 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要


作 物 名
 


 病 害 虫 名
 

発  生  量

本文での

記載ページ

  平年比

早期水稲

 

葉いもち
紋枯病
斑点米カメムシ類

   並
   並
   並

P2
P2
P2

普通期水稲
 

葉いもち
スクミリンゴガイ

   ―
   ―

P2
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野菜・工芸作
物全般

アブラムシ類
 

  やや少
 

P3

かんきつ


 

そうか病
かいよう病
黒点病
ミカンハダニ

   並
   並
  やや多
  やや少

P3
P3
P3
P4

果樹全般

カメムシ類

  やや少

P4








 

炭疽病
カンザワハダニ
ウスミドリカスミカメ
チャノホソガ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
クワシロカイガラムシ
 

   並
  やや少
  やや多
   並
   並
   並
   ―
 

P4
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P4
P4
P4
P5
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○ 6月の気象予報 
  気温は平年より高く、降水量は平年より多く、日照時間は平年より少ない見込み。
                 (1か月予報 鹿児島地方気象台5/25発表)
 
○ 発生予報の根拠および防除対策

 早期水稲
 
1 葉いもち
 [予報の根拠]
 1) 本田での発生は未確認である。
 2) イネの分けつは旺盛で、平年より1株の茎数が多い。
 3) 6月の気温は平年より高く、降水量は平年より多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 長期残効型箱施薬剤の予防効果は一般の箱施薬剤より長く、6月下旬頃まで期待できるが、梅雨入りとともに葉いもちの蔓延期に当たるため、ほ場での初発生を確  実に把握する。病斑が認められたら直ちに防除する。 
 2) 箱施薬をしていないほ場では、発生初期の防除が手遅れにならないよう特に注意する。
2 紋枯病
 [予報の根拠]
 1) イネの分けつは旺盛で、平年より1株の茎数が多い。
 2) 6月の気温は平年より高く、降水量は平年より多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 穂ばらみ期頃から発生するので、出穂の1週間前までに防除する。
3 斑点米カメムシ類
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬のイネ科飼料作物におけるすくい取り調査では、斑点米カメムシ類の生息密度は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 防除の適期は穂揃期とその7〜10日後の2回である。少発生の場合は乳熟期から糊熟期の1回防除でもよいが、発生状況によっては、1回の追加防除を考える。

普通期水稲
 
1 葉いもち
 [防除上の注意]
 1) 育苗期の発生に注意し、本田への持ち込みを防止する。
 2) 育苗箱施薬は予防的効果が高く、本田での第一次伝染と生育初期の蔓延を防止するので必ず実施する。特に長期残効型箱施薬剤は持続効果が約80日と長く、省力的でもある。
2 スクミリンゴガイ
 [防除上の注意]
 1) 水稲の被害は、田植え直後から3週間に著しく、その時期に深水状態ほど食害が激しいので、活着後は浅水管理とする。
 2) 貝の生息数が多い場合は、捕殺するか粒剤の水面施用を行う。
 2) 粒剤の水面施用に際しては、水深が3cm程度になるように調整し、少なくとも4日間はかけ流し、落水はしない。

野菜、工芸作物全般
 
1 アブラムシ類
 [予報の根拠]
 1) 黄色水盤トラップでの誘殺状況は4月はやや多かったが、5月はやや少ない。 
 
 
   

かんきつ
 
1 そうか病
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の春葉での発生面積率14.8%(平年21.2%)は平年並、発病葉率1.1%(平年1.7%)は平年並である。 
 2) 6月の降水量は平年並か、平年よりやや多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 果実での発病を抑えるため、梅雨期の防除を徹底する。
2 かいよう病
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の春葉での発生面積率3.7%(平年3.7%)は平年並、発病葉率0.1%(平年0.3%)は平年より少ない。 
 2) 6月の降水量は平年並か、平年より多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 雨が連続すると発生しやすくなるので、若木や高接直後の木、感受性の高い品種では防除回数を増やす。
3 黒点病
 [予報の根拠]
 1) 5月上・中旬の発生面積率63.0%(平年11.8%)、発病葉率22.6%(平年1.2%)は平年より多い。
 2) 6月の降水量は平年より多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 雨媒伝染性の病害で、果実への感染時期は梅雨期と8〜9月頃である。
 2) 雨の多い年には多発する恐れがあるので、降水量300mmを散布間隔の目安として散布する。
 3) 伝染源は枯れ枝で、直径5〜10mm程度の枝が保菌率が高いので、枯れ枝の剪除に努める。
 4) 剪定や肥培管理に注意して樹勢の維持に努め、枯れ枝の発生を抑える。
4 ミカンハダニ
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率7.4%(平年25.7%)、寄生葉率0.3%(平年2.2%)は平年より少ない。
 [防除上の注意]
 1) 生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。

果樹全般
 
1 カメムシ類
 [予報の根拠]
 1) 県北部(延岡市、都農町)に設置したチャバネアオカメムシのフェロモントラップにおける誘殺数(4月中旬から5月上旬)は、前年・前々年に比べてやや少ない。 
 [防除上の注意]
 1) 加害時期や発生量は場所による変動が大きいので、早期発見、早期防除に努める。
 

 茶 
 
1 炭疽病
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率13.3%(平年28.5%)、u当たり病葉数0.1(平年1.1)は平年並である。
 2) 6月の降水量は平年より多いと予想されている。
2 カンザワハダニ
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率33.3%(平年61.0%)、寄生葉率1.9%(平年10.1%)は平年より少ない。
 [防除上の注意]
 1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
3 ウスミドリカスミカメ
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率33.3%(平年23.9%)は平年並、u当たり被害葉率3.7%(平年2.0%)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 萌芽直後から芽の被害を早めに発見し、防除する。
4 チャノホソガ
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率33.3%(平年18.6%)は平年よりやや多く、u当巻葉数0.3(平年0.4)は平年並である。 
 [防除上の注意]
 1) 三角巻葉前に防除することが必要で、発蛾最盛期の約10日後が防除適期である。
 2) 脱皮阻害剤は遅効性なので卵期に散布する。
5 チャノミドリヒメヨコバイ
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率6.7%(平年17.1%)、寄生葉率0.1%(平年0.6%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
6 チャノキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 5月中旬の発生面積率53.3%(平年64.6%)、払落虫数5.6頭(平年5.6頭)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
 2) チャノミドリヒメヨコバイとの同時防除とする。
7 クワシロカイガラムシ
 [防除上の注意]
 1) 各世代幼虫の初発時期は地域間差及びほ場間差があるため、ふ化状況をよく観察し、防除適期を把握する。
 2) 薬剤散布は量を多めに(10a当たり1,000リットル)、噴口を茶株の中に差し込んで枝幹に十分かかるように行う。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成13年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
  多  い   (高  い)   やや多いの外側10%の度数の入る幅
  やや多い  (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  平年並             平年値を中心として40%の度数の入る幅
  やや少ない (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  少ない    (低  い)  やや少ないの外側10%の度数の入る幅
                (平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ(http://jppn.ne.jp/miyazaki/)
  病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
(最近の追加登録内容)
 ・フェロモンの種類とその利用
 ・発生予察情報の種類
 ・トマトサビダニの生態と防除対策
 ・ミナミキイロアザミウマの生態