6331−50
平成13年6月28日
各関係機関長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成13年度病害虫発生予報第3号について
平成13年度病害虫発生予報第3号を発表したので送付します。
平成13年度病害虫発生予報第3号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
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病 害 虫 名
|
発 生 量 |
本文での
記載ページ |
平年比 |
早期水稲
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穂いもち
紋枯病
斑点米カメムシ類 |
並
並
並 |
P2
P2
P2 |
普通期水稲
|
葉いもち
セジロウンカ ※
トビイロウンカ
スクミリンゴガイ |
並
やや多
―
やや多 |
P2
P2
P3
P3 |
露地きゅうり
(中山間地域)
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べと病
うどんこ病
褐斑病 |
並
並
並 |
P3
P3
P3 |
イチゴ
(親株床) |
うどんこ病
|
やや少
|
P3
|
野菜類全般
|
アブラムシ類
ハスモンヨトウ |
並
並 |
P4
P4 |
かんきつ
|
かいよう病
黒点病
ミカンハダニ |
やや多
やや多
やや少 |
P4
P4
P5 |
果樹全般 |
カメムシ類 |
やや少 |
P5 |
茶
|
炭疽病
カンザワハダニ
チャノホソガ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
|
並
やや少
やや多
並
やや少
並
並
|
P5
P5
P5
P5
P6
P6
P6
|
|
※ 病害虫防除速報第2号参照(平成13年6月22日発表)
○ 7月の気象予報
気温は平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されています。
(1か月予報 鹿児島地方気象台6/22発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 穂いもち
[予報の根拠]
1) 6月中旬での葉いもちの発生面積率は25.0%(平年34.8%)で平年並である。
2) 出穂期前後は、例年どおり穂いもちに感染しやすい気象条件が予想される。
[防除上の注意]
1) 葉いもちが発生している場合は、穂ばらみ期から穂揃期の防除を確実に行う。
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率2.1%(平年5.1%)はやや少なく、発病株率0.1%(平年0.1%)は平年並である。
2) 7月の気温は平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 穂ばらみ期の防除が基本となるが、上位葉鞘への進展が続く場合は2回目の散布を考える。
3 斑点米カメムシ類
[予報の根拠]
1) 6月中旬のイタリアンライグラスにおけるすくい取り調査では、斑点米カメムシ類の生息密度は平年よりやや少な
いが、地域によっては発生密度の高いほ場がある。
単位:頭
|
ミナミアオカメムシ |
クモヘリカメムシ |
ホソハリカメムシ |
シラホシカメムシ |
計 |
本 年 |
0.9 |
3.9 |
2.1 |
0.8 |
7.7 |
平 年
|
2.0
|
6.1
|
2.9
|
2.3
|
13.3
|
[防除上の注意]
1) 防除の適期は穂揃期とその7〜10日後の2回である。少発生の場合は乳熟期から糊熟期の1回防除でもよい
が、発生状況によっては、1回の追加防除を考える。
2) 出穂の早い水田には集中的に飛来する恐れがあるので注意する。
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では、本田での発生は未確認である。
[防除上の注意]
1) 本田初期の発生に注意し初期防除を徹底する。育苗箱施薬を処理していない水田では特に注意が必要である。
2 セジロウンカ
[予報の根拠]
1) 普通期水稲での6月上旬の発生面積率は10.7%(前年23.2%)で、前年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 飛来状況や飛来後の発生動向、また育苗箱施薬を実施したほ場では薬剤の持続効果を考慮して防除を実施す
る。防除の目安は株当たり虫数4頭以上である。
3 トビイロウンカ
[防除上の注意]
1) 飛来状況や飛来後の発生動向、また箱施薬を実施したほ場では薬剤の持続効果を考慮して防除を実施する。
防除の目安は10株当たり虫数2頭以上である。
4 スクミリンゴガイ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率16.0%(平年7.2%)は平年より多く、1u当たり貝数0.4頭(平年0.3頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 水稲の被害は、田植え直後から3週間に著しく、その時期に深水状態ほど食害が激しいので、活着後はできるだけ浅水管理とする。
2) 貝の生息数が多い場合は、捕殺するか粒剤の水面施用を行う。
3) 粒剤の水面施用に際しては、水深が3cm程度になるように調整し、少なくとも4日間はかけ流し、落水はしない。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率は20.0%(平年27.9%)、発病葉率1.6%(平年3.8%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 多発すると防除が困難なため、予防散布あるいは初期防除に重点をおく。
2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないよう、肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率33.3%(平年39.3%)は平年並、発病葉率0.5%(平年4.1%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 最初は葉の裏に発生しやすいので注意し、早期発見に努める。
2) 葉が老化すると多発する傾向にあるので、老葉はなるべく除去し、通風採光をよくする。
3 褐斑病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では、発生は未確認である。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する
2) 昨年多発したほ場では特に注意する。
3) 排水をよくし窒素質肥料の多用は避ける。
1 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 5月下旬〜6月上旬の発生面積率は25.0%(平年71.4%)、発病葉率8.3%(平年24.0%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 古葉をできるだけ除去し、葉裏に十分薬液がかかるように散布する。
2) 作用性の異なる薬剤をローテーション散布する。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップでの誘殺状況は、やや少ない。
2 ハスモンヨトウ
[予報の根拠]
1) フェロモントラップでの誘殺状況は平年並である。
[防除上の注意]
1) 早期発見に努め、若齢幼虫期に防除する。
1 かいよう病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の春葉での発生面積率11.1%(平年16.3%)、発病葉率0. 2%(平年0.3%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 若木や高接直後の木、感受性の高い品種では防除回数を増やす。
2) 基本管理の徹底に努める。
2 黒点病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の春葉での発生面積率77.8%(平年10.3%)、発病葉率23.4%(平年1.6%)は平年より多い。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 雨媒伝染性の病害で、果実への感染時期は梅雨期と8〜9月頃である。
2) 雨の多い年には多発する恐れがあるので、降水量300mmを散布間隔の目安として散布する。
3) 伝染源は枯れ枝で、直径5〜10mm程度の枝が保菌率が高いので、枯れ枝の剪除に努める。
4) 剪定や肥培管理に注意して樹勢の維持に努め、枯れ枝の発生を抑える。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率3.7%(平年38.0%)、寄生葉率0.3%(平年6.1%)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
1 カメムシ類
[予報の根拠]
1) 県北部(延岡市、都農町)に設置したチャバネアオカメムシのフェロモントラップにおける誘殺数(4月中旬から6月中旬)は、前年・前々年に比べてやや少ない。
[防除上の注意]
1) 加害時期や発生量は場所による変動が大きいので、早期発見、早期防除に努める。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率52.6%(平年44.9%)、u当たり病葉数2.8(平年3.0)は平年並である。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
2 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率36.8%(平年59.7%)は平年よりやや少なく、寄生葉率7.0%(平年10.6%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
3 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率31.6%(平年24.8%)は平年よりやや多く、u当巻葉数2.8(平年0.9)は平年より多い。
[防除上の注意]
1) 三角巻葉前に防除することが必要で、発蛾最盛期の約10日後が防除適期である。
2) 脱皮阻害剤は遅効性なので卵期に散布する。
4 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率26.3%(平年35.5%)は平年並で、寄生葉率1.1%(平年2.6%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
5 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率42.1%(平年78.6%)、払落虫数3.2頭(平年19.4頭)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) 萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
2) チャノミドリヒメヨコバイとの同時防除とする。
6 チャノコカクモンハマキ・チャハマキ
[予報の根拠]
1) フェロモントラップでの誘殺状況は、発生時期が昨年よりやや早く発生量は平年並である。
[防除上の注意]
1) 成虫発生最盛期の7日〜10日後が防除適期である。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成13年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬
ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)