6331−73
                                        平成13年8月28日
 各関係機関長
 各病害虫防除員  殿
                                   宮崎県病害虫防除所長  
     平成13年度病害虫発生予報第5号について
 平成13年度病害虫発生予報第5号を発表したので送付します。
  平成13年度病害虫発生予報第5号
  向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

作 物 名
 
 病 害 虫 名
 

発  生  量

本文での

記載ページ


  平年比

普通期水稲

 


穂いもち       ※
紋枯病
トビイロウンカ

   並
   並
   並 

P2
P2
P2

露地きゅうり
 

べと病
褐斑病

  やや多
  やや多

P2
P2

施設きゅうり

モザイク病(急性萎凋症)

   ―

P3

大豆及び野菜類全般

アブラムシ類
ハスモンヨトウ等鱗翅目害虫

   並
  やや多

P3
P3

かんきつ
 

 


黒点病
かいよう病
ミカンハダニ
チャノキイロアザミウマ

   並
  やや多
  やや少
  やや少

P4
P4
P4
P4

果樹全般

カメムシ類

  やや少

P4


 
 
 
 
 

 


炭疽病
輪斑病
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
カンザワハダニ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
 

   並
   並
  やや少
   並
  やや少
  やや少
  やや少
 

P5
P5
P5
P5
P5
P6
P6
 
    ※ 病害虫防除速報第3号参照(平成13年7月25日発表)
○ 9月の気象予報 
  気温は平年並か平年より高い可能性が大きく、降水量は平年並の可能性が大きく、日照時間は平年並か平年よ
 り少ない可能性が大きいと予想されています。
            (1か月予報 鹿児島地方気象台8/24発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
 

普通期水稲
 
1 穂いもち
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の葉いもちの発生面積率30.4%(平年55.0%)は平年よりやや少なく、発病株率10.4%(平年1  5.7%)は平年並であるが、県北や西諸県では上位葉に病斑がある発病程度の高いほ場もある。
 [防除上の注意]
 1) 穂ばらみ期と穂揃期が防除適期であるが、特に葉いもちの発生が多いほ場では、穂揃期の7〜10日後に追加  散布する。
2 紋枯病 
  [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率は46.4%(平年53.1%)は平年よりやや少なく、発病株率9.9%(平年10.5%)   は平年並である。
 2) 9月の気温は平年並か平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 穂ばらみ期以降はイネの抵抗性が弱まり、高温下では上位葉鞘へ進展しやすいので注意する。
 2) 防除は穂ばらみ期から穂揃期に行なっていても、その後の進展が激しい場合は2回目の防除を実施する。
3 トビイロウンカ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率5.4%(平年22.5%)は平年よりやや少なく、10株当たり虫数0.1頭(平年1頭)は   平年並みである。
 2) 本虫は、本田初期は低密度でも、中期以降に急激に増殖する場合がある。
 [防除上の注意]
 1) 本年はこれまで高温が続き、9月も平年より高めと予想されることから、発生状況に十分注意する。
 2) 成虫、幼虫とも株元に生育しているので、粉剤や液剤を散布するときは、株元まで薬剤が十分到達するようにす  る。
 

露地きゅうり
 
1 べと病 
  [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率100%(平年73.7%)は平年より多く、発病葉率25.1%(平年14.9%)は平年よ   りやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 多発すると防除が困難なため、予防散布あるいは発生初期に防除の重点をおく。
 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
2 褐斑病
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率50.0%(平年42.7%)は平年並、発病葉率13.1%(平年8.6%)は平年よりやや  多い。
 [防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。
 2) 昨年多発したほ場では特に注意する。
 

施設きゅうり
 
1 モザイク病(急性萎凋症)
 [防除上の注意]
 1) アブラムシによって媒介されるウイルス病であり、発病してからでは手遅れとなるので育苗期からアブラムシの  防除を徹底する。
 2) 施設の開口部には、寒冷紗やネットを張り、アブラムシの飛来を防止する。
 

大豆及び野菜類全般
 
1 アブラムシ類
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬のサトイモでの発生面積率85.7%(平年73.0%)、株当虫数72頭(平年197頭)は平年並であ    る。
 2) 黄色水盤トラップによる誘殺状況は、昨年並である。
 [防除上の注意]
 1) 定期的な防除を実施する。
 2) 作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
2 ハスモンヨトウ等鱗翅目害虫 
  [予報の根拠]
 1) ハスモンヨトウ及びタバコガのフェロモントラップでの誘殺数は、8月に入って急増している。
 2) 9月の気温は平年並か平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 幼虫が大きくなると薬剤が効きにくくなるので、早期発見に努め若令幼虫期に防除する。
 

かんきつ
 
1 黒点病
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の果実での発生面積率18.5%(平年55.3%)は平年より少なく、発病果率2.7%(平年11.     2%)は平年並である。
 2) 9月の降水量は平年並と予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 雨媒伝染性の病害で、果実への感染時期は梅雨期と8〜9月頃である。
 2) 雨の多い年には多発する恐れがあるので、降水量300mmを散布間隔の目安として散布する。
 3) 伝染源は枯れ枝で、直径5〜10mm程度の枝が保菌率が高いので、枯れ枝の剪除に努める。
 4) 剪定や肥培管理に注意して樹勢の維持に努め、枯れ枝の発生を抑える。
2 かいよう病(中晩柑)
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の果実での発生面積率60.0%(平年24.3%)は平年より多く、発病果率2.0%(平年1.6%)は   平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 薬剤防除は予防散布を原則とし、発病した枝葉は伝染源となるので可能な限り取り除き園外に持ち出し焼却す  る。
 2) 風雨により発病が増加するので、防風垣を整備して枝葉を痛めないようにする。
 3) 台風の襲来が予想されるときは、事前の薬剤散布が望ましいが、通過後は速やかに散布する。
3 ミカンハダニ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率22.2%(平年52.5%)は平年より少なく、寄生葉率2.7%(平年13.1%)は平年   よりやや少ない。
 [防除上の注意]
 1) 果実に寄生すると収穫果実の外観を損なうので防除を徹底する。
 2) 生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%、10葉当たり虫数5〜10頭を目安に、増殖初期に  防除を行う。
4 チャノキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生は未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 果実に寄生すると収穫果実の外観を損なうので、10果当たり虫数3頭を目安に増殖初期に防除を行う。
 

果樹全般
 
           
1 カメムシ類
 [予報の根拠]
 1) 8月17日に県北部のスギの毬果でチャバネアオカメムシ及びツヤアオカメムシの新成虫が確認された。
 2) フェロモントラップにおける誘殺数は、前年・前々年に比べてやや少ない。
 [防除上の注意]
 1) 加害時期や発生量は場所による変動が大きいので、早期発見、早期防除に努める。
 

 茶 
 
1 炭疽病
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率57.9%(平年64.8%)、u当たり病葉数5.7(平年5.2)は平年並である。
 2) 9月の降水量は平年並と予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 病原菌は開葉して間もない軟らかい新芽にしか進入できないので、新芽の生育期が防除適期である。
 2) 秋季の発生は秋芽の充実を損ない、来年の一番茶の品質収量に悪い影響を与え、伝染源にもなるので徹底し  た防除が必要である。
 3) 雨が多いと発生しやすい。多発が予想される時は、開葉期とその数日後の2回散布が必要である。
2 輪斑病
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率10.5%(平年18.3%)、u当たり病葉数0.2(平年0.5)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 摘採機等によってできた葉や茎の傷口に病原菌がついて感染、発病するので、摘採直後に防除する。
 2) 新梢枯死症は輪斑病菌によって起こる枝枯れである。萌芽から開葉期にかけて、包葉などが取れたときにでき  る傷口から感染する。秋芽の萌芽期〜生育期に防除を行う。
3 チャノコカクモンハマキ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬のほ場での発生は未確認である。
 2) フェロモントラップによる誘殺量は、平年よりやや少ない傾向にある。
 [防除上の注意]
 1) フェロモントラップによる誘殺状況では、第3世代の発蛾最盛期は平年並の9月上旬と予想される。
 2) 防除適期は、成虫発生最盛期の7日〜10日後のふ化後間もない若齢幼虫期である。成長すると葉をとじ合わ  せ防除効果が落ちる。
4 チャハマキ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率5.3%(平年5.9%)は平年並、u当巻葉数0.5(平年0.1)は平年より多い。
 2) フェロモントラップによる誘殺量は、平年よりやや少ない傾向にある。
 [防除上の注意]
 1) 防除適期は、成虫発生最盛期の7日〜10日後のふ化後間もない若齢幼虫期である。成長すると葉をとじ合わ  せ防除効果が落ちる。
5 カンザワハダニ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率15.8%(平年31.0%)、寄生葉率0.4%(平年2.0%)は平年よりやや少ない。
 [防除上の注意]
 1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
6 チャノミドリヒメヨコバイ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率21.1%(平年51.3%)、100葉当たり虫数0.6(平年4.5)は平年より少ない。
 [防除上の注意]
 1) 秋芽の萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
7 チャノキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 8月中旬の発生面積率26.3%(平年68.1%)、払い落し虫数1.9頭(平年16.0頭)は平年よりやや少な   い。
 [防除上の注意]
 1) 秋芽の萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
 2) チャノミドリヒメヨコバイとの同時防除とする。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成13年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬 ベンゾエピン 剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
  多  い   (高  い)   やや多いの外側10%の度数の入る幅
  やや多い  (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  平年並             平年値を中心として40%の度数の入る幅
  やや少ない (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  少ない    (低  い)   やや少ないの外側10%の度数の入る幅
                (平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ(http://jppn.ne.jp/miyazaki/)
  病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策 等を登録しています。ぜひご利用ください。
(最近の追加登録内容)
 ・警報・注意報一覧@(平成8年〜平成12年)
 ・イチゴ炭疽病保菌状況調査結果
 ・平成13年産露地キュウリにおける病害虫発生消長
 ・宮崎県で新たに発生が確認された病害虫一覧