6331− 139
                              平成14年1月30日
 各関係機関長
 各病害虫防除員  殿
                             宮崎県病害虫防除所長
       平成13年度病害虫発生予報第10号について
 平成13年度病害虫発生予報第10号を発表したので送付します。

  平成13年度病害虫発生予報第10号
 
 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要























 


作 物 名
 


 病 害 虫 名
 

発  生  量

本文での

記載ページ

  平年比

冬春きゅうり



 

べと病
うどんこ病
灰色かび病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ

    並
    並
  やや少
  やや多
    並

P2
P2
P2
P2
P2

冬春ピーマン


 

うどんこ病
斑点病
ミナミキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ

  やや多
    並
    並
  やや多

P2
P3
P3
P3

冬春トマト


 

灰色かび病
葉かび病
コナジラミ類
マメハモグリバエ

    並
    並
  やや少
  やや少

P3
P3
P3
P4

冬春イチゴ

 

うどんこ病
ハダニ類
 

   並
    並
 

P4
P4
 
○ 2月の気象予報 
   気温は平年より高く、降水量は平年より多い可能性が大きく、日照時間は平年並の可能性 が大きいと予想されています。
                  (1か月予報 鹿児島地方気象台1/25発表)              
 
○ 発生予報の根拠および防除対策


 

冬春きゅうり
 
1 べと病
 [予報の根拠]
 1) 促成きゅうりにおいては、1月下旬の発生面積率69.3%(平年74.7%)は平年並、発病葉率16.1%(平年20.1%)は平年よりやや少ない。
 2) 半促成きゅうりにおいては、1月下旬の発生面積率40.0%(平年16.9%)は平年より多く、発病葉率2.0%(平年1.8%)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 多発すると防除が困難なため、予防散布あるいは発生初期の防除に重点をおく。
 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れを起こさないように肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 促成きゅうりにおいては、1月下旬の発生面積率53.9%(平年46.3%)は平年よりやや多く、発病葉率6.1%(平年6.3%)は平年並である。
 2) 半促成きゅうりにおいては発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 葉裏から発生するので、葉裏を観察して、初発時にすみやかに薬剤散布を行う。
 2) 乾燥条件下で多発しやすいので、過度の乾燥を避ける。
 3) 老化すると多発する傾向にあるので、なるべく老葉は除去し採光、通風をよくする。
3 灰色かび病
 [予報の根拠]
 1) 促成及び半促成きゅうりとも、1月下旬の巡回調査では発生未確認である。
 2) 2月の気温は平年より高く、降水量は平年より多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気をよくし、過湿防止に努める。
 2) 発生初期の防除を徹底する。なお薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
4 褐斑病
 [予報の根拠]
 1) 促成きゅうりにおいては、1月下旬の発生面積率30.8%(平年25.3%)、発病葉率6.0%(平年2.9%)は平年よりやや多い。           
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気を十分行い、灌水も過多にならないように注意し、高温多湿を防止する。
5 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 促成きゅうりにおいて、1月下旬の100葉当たり虫数3.0頭(平年24.0頭)は平年よりやや少ない。
 2) 2月の気温は平年より高く、降水量は平年より多いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は著しく困難なので低密度のうちに防除を徹底する。


 

冬春ピーマン
 
1 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 1月下旬の発生面積率90.9%(平年43.6%)、発病葉率9.9%(平年4.2  %)は平年より多い。
 [防除上の注意]
 1) 病勢が進行すると防除が難しくなるので早期防除に努め、発生後は、散布間隔を短くするなど徹底した防除を行う。
2 斑点病
 [予報の根拠]
 1) 1月下旬の発生面積率27.3%(平年43.5%)は平年並、発病葉率0.4%(平年5.4%)は平年より少ない。
 [防除上の注意]
 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウス内の換気、適切な温度管理を行い、多湿を防止する。
 2) 発病葉はハウスから持ち出し処分する。
3 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 1月下旬の発生面積率18.2%(平年30.1%)は平年よりやや少なく、10花当り寄生虫数0.9頭(平年1.1頭)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 寄生虫数が10花当たり1頭から被害果が見られ始め、多発してからの防除は困難なので、低密度のうちに防除を徹底する。
4 ヒラズハナアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 1月下旬の発生面積率36.4%(過去7年平均29.0%)、10花当り寄生虫数4.9頭(過去7年平均6.4頭)は、過去7年平均と比較してやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 本虫の発育は非常に早く、多発してからの防除は困難なので、低密度のうちに防除を徹底する。


 

冬春トマト
 
1 灰色かび病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウス内の換気をはかり多湿を避ける。
 2) 被害果、茎葉、花弁は伝染源になるので早めに除去処分する。
2 葉かび病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 多湿条件で発生しやすいので、換気をはかり多湿を避ける。
 2) 予防散布に重点を置き、発病が認められた場合は初期防除を徹底する。
3 コナジラミ類
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の巡回調査では、6ほ場で発生を確認したものの、100葉当たり1〜20頭の微発生である。
 [防除上の注意]
 1) 吸汁による減収のほかに、多発生するとすす病を併発させ、果実の品質が低下する。またシルバーリーフコナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)を媒介する。
 2) 繁殖力が旺盛なため初期の発生に注意し、発生を確認したらすみやかに防除する。
 3) コナジラミの種類によって有効薬剤が異なるので注意する。オンシツコナジラミ及びシルバーリーフコナジラミ(タバココナジラミ)の両方に登録のある農薬は、アプロード水  和剤(幼虫)、トレボン乳剤、モスピラン水溶剤、チェス水和剤などがある。
 4) 各ステージ(成虫、幼虫、卵)が混在している場合、ステージによって有効薬剤が異なるので薬剤の選択に注意する。
4 マメハモグリバエ
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の巡回調査では、下位葉のみに寄生が見られ、その面積率は25%で、過去7か年と比較して最も少ない。
 [防除上の注意]
 1) 発生を確認したらすみやかに防除するとともに、被害葉はなるべく除去する。
 2) 成虫(特に雄)は黄色に強く誘引されるので、黄色粘着シートで発生初期を把握することができる。


 

冬春イチゴ
 

   
 
1 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率18.2%(平年40.2%)、発病葉率0.7%(平年2.9%)は平年よりやや少ない。
 2) 2月の気温は平年より高く、日照時間は平年並と予想されている。
 [防除上の注意]
 1) はじめは葉裏に発生しやすいので発病葉の早期発見に努め、初期防除を徹底する。
 2) 激しく発病すると防除がきわめて困難になるので、予防散布に重点を置き、発病後は散布間隔を短くするなど、防除を徹底する。
 3) 発病果など被害部は伝染源になるので、早めに取り除き、ほ場内に放置しない。
2 ハダニ類
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率18.2%(平年39.2%)は平年よりやや少なく、寄生株率6.5%(平年7.0%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなるが、茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏にかかるように散布する。
 2) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一系統の薬剤の連用を避ける。
 
○ その他
1 防除等の詳細については「平成13年度病害虫・雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準を遵守し、使用者自身及び周辺環境に対する 危被害の防止に努める。特に土壌消毒 用くん蒸剤の使用に当たっては、取り扱うくん蒸剤専 用のマスクを着用するなど十分な安全対策を取ること、くん蒸期間、ガス抜き期間を十分確 保すること、周辺環境にガスが漏れないようにすること、その他農薬のラベルに記載されている使用上の注意を遵守することが必要である。水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
  多  い   (高  い)  やや多いの外側10%の度数の入る幅
  やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  平年並            平年値を中心として40%の度数の入る幅
  やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  少ない    (低  い)  やや少ないの外側10%の度数の入る幅
                (平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
  病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。