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                            平成14年3月29日
 各関係機関長
 各病害虫防除員 殿
 
                           宮崎県病害虫防除所長
 
   平成13年度病害虫発生予報第12号について
 平成13年度病害虫発生予報第12号を発表したので送付します。

  平成13年度病害虫発生予報第12号
                               
 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要






























 


作 物 名
 


 病 害 虫 名
 

発  生  量

本文での
 
記載ページ




 

  平年比

早期水稲

 

いもち病
スクミリンゴガイ
イネミズゾウムシ

   ―
  やや多
   ―

P2
P2
P2
 

野菜・工芸作物

アブラムシ類
 

   並
 

P2
 
 

冬春キュウリ
 (半促成)

 

べと病
褐斑病
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ

   並
  やや多
   並
   並 

P3
P3
P3
P3











 

冬春ピ−マン

 

斑点病
うどんこ病
アザミウマ類

  やや少
  やや多
  やや多

P3
P4
P4

冬春トマト

 

灰色かび病
葉かび病
コナジラミ類

   並
  やや多
   並

P4
P4
P4

カンキツ

 

そうか病
かいよう病(中晩柑)
ミカンハダニ

   並
   ―
  やや多

P5
P5
P5


 

カンザワハダニ
 

   並
 

P5
 
 
○ 4月の気象予報 
  気温は平年より高く、降水量は平年並、日照時間は平年並あるいは平年より多い可能性が大きい。
        (1か月予報 鹿児島地方気象台3/22発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策


 

早期水稲
 
1 いもち病
 [防除上の注意]
 1) いもち病が大発生した平成10年には春先の気温が異常に高く、田植え直後から曇りや雨の日が多かった。本年も3月の気温は平年より高く、4月の気温も平年より高いと予想されていることから、今後の気象に注意し水田での初発生を確実に把握し、病斑が見られたら直ちに防除する。育苗箱施薬剤を使用していない場合は特に注意する。
 2) 水田の置き苗は早めに処分する。
2 スクミリンゴガイ
 [予報の根拠]
 1) 2月中旬佐土原町下田島における水稲収穫後未耕起水田でのu当たり生貝数は、9.9頭(昨年7.3頭)で昨年よりやや多く、用水路でのu当たり生貝数は68頭(昨年17頭)で昨年より多い。
 2) 生貝率は、水田では75%(昨年57.5%)、用水路では88.6%(昨年51.5%)で、昨年より生貝率が高い。
 [防除上の注意]
 1) 用排水路からの侵入を防ぐため水の出入り口にネットを設置する。
 2) 田植後2〜3週間はできるだけ水深1cm以下の浅水管理とする。
 3) 貝の生息数が多くキタジンP粒剤を施用する場合は、効果を高めるため3〜4日間は水を止める。 
3 イネミズゾウムシ
 [防除上の注意]
 1) 昨年発生の見られた水田で育苗箱施薬剤を使用していない水田では、発生が目立ち始めたら(10株当たり成虫数5頭)粒剤の水面施用を行う。
 2) 未発生地では水稲の食害痕に注意し、発生を認めた場合は直ちに粒剤の水面施用を行い被害の拡大を防止する。
 3) 粒剤の水面施用を行う場合は、できるだけ魚介類に影響の少ない薬剤を使用し、4〜5日間は水を止める。


 

野菜・工芸作物
 
1 アブラムシ類
 [予報の根拠]
 1) 黄色水盤トラップでの誘殺数は、2月上旬から増えはじめたが、3月には平年並になっている。
 
   図1 アブラムシ類の誘殺数(佐土原町)
[防除上の注意]
 1) ウイルス病の媒介を防ぐため育苗期から徹底防除を行う。育苗期の寒冷紗被覆はコナジラミ類などの飛来防止にも有効である。
 2) 露地栽培では、シルバープラスチックフィルムやシルバーストライププラスチックフィルムなどのマルチを行うと、有翅虫の飛来が少なくなる。
 3) 多発すると防除効果が低下するので、有翅虫の早期発見に努め生息数が少ないうちに防除する。


 

冬春キュウリ(半促成)
 
1 べと病
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率50.0%(平年54.4%)、発病葉率6.3%(平年7.9%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気を良くし、過湿防止に努める。
 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないよう、肥培管理に注意する。
 3) 多発すると防除が困難なので、薬剤防除は予防散布や初期防除に重点を置く。
2 褐斑病
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率37.5%(平年32.3%)、発病葉率2.0%(平年2.5%)は平年並である。
 2) 4月の気温は平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) ハウスの換気を十分行い、灌水も過多にならないようにし、高温多湿を防止する。
 2) 老化葉は早めに除去し、通風を図り、被害葉や被害残さの処理を丁寧に行う。
3 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率12.5%(平年24.1%)、発病葉率0.5%(平年3.2%)は平年よりやや少ない。
 2) 4月の気温は平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 空気の停滞によって発生しやすいので換気を十分行う。
 2) 加温機のまわり等の発生しやすい場所の葉裏に注意し、初発を見たら速やかに防除する。
4 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の巡回では12ほ場中3ほ場で発生を確認したものの、いずれのほ場も10葉当たり1頭以下の微発生である。(平年値:発生面積率11.4%、10葉当たり虫数2.1頭)
 2) 4月の気温は平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 常に観察を行い低密度のうちに防除を行う。


 

冬春ピ−マン
 
1 斑点病
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率18.2%(平年44.9%)、発病葉率0.5%(平年5.1%)は平年より少ない。
 2) 4月の気温は平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 灌水を控え気味にし、換気を徹底して、ハウス内の高温多湿を防止する。
 2) 摘葉・整枝を行って過繁茂にならないよう注意する。
2 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率54.6%(平年42.0%)は平年よりやや多く、発病葉率3.9%(平年4.1%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 乾燥条件下で多発しやすいので、過度の乾燥を避ける。
 2) 暖房機周辺が高温となるため発生しやすい。多発すると防除は困難なので、早期発見に努め、初期防除を徹底する。
3 アザミウマ類
 [予報の根拠]
 1) ミナミキイロアザミウマの3月中旬の発生面積率27.3%(平年40.5%)、10花当たり虫数0.9頭(平年1.8頭)は平年並である。
 2) ヒラズハナアザミウマの3月中旬の発生面積率45.5%(過去9年平均34.9%)、10花当たり虫数6.3頭(過去9年平均5.5頭)は過去9年と比較してやや多い。
 3) 4月の気温は平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 常に観察を行い、低密度のうちに防除を徹底する。
 2) 作用性の異なる薬剤を輪番使用する。


 

冬春トマト
 
1 灰色かび病
 [予報の根拠]   
 1) 3月中旬の発生面積率20.0%(平年31.6%)、発病果率0.7%(平年1.1%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気を良くし多湿防止に努める。
 2) 発病果・被害茎葉は伝染源となるのでハウス外に持ち出し処分する。
 3) 曇雨天が続く場合はくん煙剤を使用し、ハウス内の湿度を高めないよう努める。
 4) 薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤を輪番使用する。
2 葉かび病
 [予報の根拠]   
 1) 3月中旬の発生面積率30.0%(平年9.2%)、発病葉率2.3%(平年0.5%)は平年より多い。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気を良くし多湿防止に努める。
 2) 過繁茂は発生を助長するので、古葉は除去する。
3 コナジラミ類 
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率10.0%(平年5.8%)、10葉当たり虫数1.0頭(平年1.0頭)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) シルバーリーフコナジラミはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介するので、栽培期間中は薬剤防除の徹底や施設開口部の防虫網設置・植物体の施設外への持ち出しはビニル袋に入れて行うなど、野外への分散を防ぐ。栽培終了時は蒸し込みを行い、トマトを枯死させて、本虫を死滅させることにより施設外への分散を防ぐ。
 2) 施設内外の雑草は、シルバーリーフコナジラミの寄主植物となるので除草を徹底する。


 

カンキツ
 
1 そうか病
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の越冬葉調査では、発生未確認である。(平年値:発生面積率8.1%、発病葉率0.6%)
 [防除上の注意]
 1) 重点防除時期は、萌芽期・落花期・梅雨期であるが、本年は1週間から10日ほど生育が早いので防除が遅れないように注意する。
 2) 伝染源となる発病葉はできるだけ除去する。
2 かいよう病(中晩柑)
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の中晩柑における越冬葉調査では、発生面積率40.0%(平年27.9%)は平年並、発病葉率10.0%(平年3.4%)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 防除は予防散布が原則であり、防除適期は発芽前(3月中下旬)・開花直前・花弁落下後・秋芽生育期であるが、本年は1週間から10日ほど生育が早いので防除が遅れないように注意する。
 2) 伝染源となる発病葉はできるだけ除去する。
 3) ミカンハモグリガの防除に努める。
3 ミカンハダニ
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の発生面積率51.8%(平年45.5%)は平年より多く、寄生葉率8.5%(平年6.7%)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 本虫の要防除水準は寄生葉率30%あるいは10葉当たり寄生虫数5〜10頭となっている。特に冬季マシン油乳剤を散布していないほ場ではほ場の発生状況に注意し、要防除水準に達する前の発生初期に防除を行う。
 2) 同一薬剤あるいは同一系統薬剤の使用は年1回が望ましい。


 


 
1 カンザワハダニ
 [予報の根拠]
 1) 3月中旬の摘採面における発生面積率60.0%(平年63.1%)は平年並、寄生葉率2.7%(平年6.7%)は平年よりやや少ない。
 2) すそ部における発生面積率73.3%(過去8年平均62.7%)は過去8年平均より多く、寄生葉率5.7%(過去8年平均10.5%)は過去8年平均 より少ない。
 3) 4月の気温は平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1) 発生が多くなってからでは、どの薬剤も効果が低下するので早めに防除する。
 2) 発生が多くやむを得ず薬剤防除を行う場合は、今年の生育は平年より5日〜1週間程度早いと予想されているので収穫前使用日数を遵守し、防除 が遅れないように注意する。
 3) 薬剤抵抗性の発達を避けるため、同一もしくは同一系統の薬剤使用を避ける。
 
○ その他
 1) 防除等の詳細は「平成14年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
 2) 農薬の使用に当たっては農薬安全使用基準を遵守し、使用者自身及び周辺環境に対する危被害の防止に努める。特に土壌消毒用くん蒸剤の使用に当たっては、取り扱うくん蒸剤専用のマスクを着用するなど十分な安全対策をとること、くん蒸期間・ガス抜き期間を十分確保すること、周辺環境にガスが漏れないようにすること、その他くん蒸剤のラベルに記載されている注意を遵守することが必要です。また水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名:マリックス乳剤・粒剤等)は使用しない。
 3) 発生量(程度)の区分
   多  い    (高  い)   やや多いの外側10%の度数の入る幅
   やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
   平年並             平年値を中心として40%の度数の入る幅
   やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
   少ない     (低  い)   やや少ないの外側10%の度数の入る幅
     (平年値は過去10年間の平均)
 
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
  病害虫防除所ではホ−ムペ−ジで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地 域別調査デ−タ、防除対策等を登録しています。是非ご利用ください。
 (最近の追加登録内容)
 ・ 平成13年度ハスモンヨトウ薬剤感受性試験結果
 ・ 農薬の剤型とその特徴
 ・ 農薬希釈早見表